山椒・花山椒・胡椒|しびれスパイスの効果と鍋レシピ
花椒、山椒、胡椒は中華、麻婆豆腐の定番スパイスです。辛味だけではなく、しびれがあり、絶妙な清涼感と食べごたえ、美味しさを醸し出してくれます。しびれスパイスの効果効能、スパイスを活用した「しびれ鍋」のレシピを3つご紹介します。どれも食欲がアップして、やみつきになる美味しさです。
Contents
スパイスの効果効能
花椒
しびれるような辛味が最大の特徴。ピリッとしたパンチのある辛みがあります。麻辣豆腐(マーラートウフ)の「麻」という漢字は「痺れる」という意味で、花椒のことを指しています。また、香りは爽やかで風味豊か。四川料理、貴州料理、雲南料理、西北料理などで煮込み料理や炒め物、蒸し料理などに多用されます。
花椒の主な使い方
花椒の木・・・ミカン科サンショウ属の華北山椒(カホクザンショウ)中国産地
花椒は「ホアジャオ」と読みます。日本の山椒と区別する意味で、「四川山椒」(しせんさんしょう)や「中国山椒」などと呼ばれることもあります。花椒というのは中国名で、日本語読みで「かしょう」と呼ばれることもあります。
熟した花椒の赤い果皮が弾けて割れている様子が、まるで花が咲いているようだということから、「花椒」と呼ばれるようになりました。直径3mmほどの赤い実を乾燥させ、その果皮を使用します。料理のスパイスとしての食用の他、薬用としても使用されます。
味と香り
花椒は辛みの香辛料として四川料理に多用されます。花椒を使う代表的な料理として麻婆豆腐がありますが、あんにも花椒を混ぜ込み、でき上がりには更に上から花椒をかけます。四川料理の麻婆豆腐の味はまさに花椒の味と言っても過言ではありません。また、五香粉(ウーシャンフェン)というブレンドスパイスにも花椒は使われています。シナモン、クローブ、陳皮、スターアニス、花椒の5種類のスパイスをパウダー状にしてブレンドしたものです。炒め物や揚げ物の味付けなどに使われます。
山椒
山椒の木・・・ミカン科サンショウ属の山椒(サンショウ)日本産地
原産国は日本で、北海道から屋久島まで、また朝鮮半島南部にも分布しています。日本でも古くから使われてきたスパイスで、縄文時代には既に料理に使用されていたことがわかっています。また、花椒が果皮のみを使用するのに対し、山椒は実、若葉、花、木の芽、幹の皮など、色んな部分が薬味や飾りとして使われます。花椒は熟した実を乾燥させて作るのに対し、山椒は熟す前の果皮を粉末にしたものです。
味と香り
花椒の強烈な痺れるような辛みに比べると、辛みはマイルド。口の中が痺れる感じも花椒に比べると弱いです。辛みのスパイスとしてよりは、風味をつけるための薬味として使用されることが多いです。ひと振りで、ふわっと爽やかな風味のアクセントをつけてくれます。
麻辣
唐辛子の舌がヒリヒリ感じる辛み 辣味:ラーウェイ
花椒の舌先がピリッと痺れる辛み 麻味:マーウェイ
辛いと感じる味覚は生理学的分類では味覚ではなく、痛覚になる。痛みを感じる事で脳がそれを抑制するために「β-エンドルフィン」を分泌する。β-エンドルフィンは快楽物質の一種とされている。
花椒の最大の特徴はレモングラスのような爽やかな香りとピリッと舌先が痺れること。ピリッとした成分は「ヒドロキシ-α-サンショオール」これは花椒にも山椒にも含まれている。サンショオールは局部麻酔作用もあり舌先に痺れをもたらし辛さを感じている。
サンショオール
主に脳を刺激して内臓の働きを活発にしていくと共に、胃腸を健康にする点から消化不良の改善にも効果があるとされている。また香りの刺激成分が脳に届きホルモンを刺激して基礎代謝の向上や発汗作用も期待でき、体脂肪の燃焼促進効果もあると言われている
β-エンドルフィン
幸福感を得ることが出来る。エンドルフィンは神経物質で、脳の神経回路を変えて脳内の活動状態をポジティブなものにしていく作用があると言われている。ポジティブになる事で仕事や勉強への集中力ややる気が増すと言われている。
花椒、山椒の過剰摂取の注意点
香辛料の一つである胡椒の原産地は、インドの西南部のマラバール海岸と言われています。そこからマレーシア半島、カンボジア、北ベトナムなど東南アジア各地に広がりました。
胡椒の起源は紀元前後からインド洋とその周囲の海域の交易の主要な交易品であったことが始まりです。インドにおいては医薬品として用いられたこともありましたが、紀元前1世紀ごろには食生活に欠かせない代表的な香辛料の一つとされていたそうです。
香辛料として振りかける程度では、摂取する量はごく少量ですが、胃腸を刺激する作用が強いので、内臓に熱がこもるような持病がある場合は、刺激が強く症状を悪化させる可能性があるのでご注意ください。また、山椒に限らず、唐辛子やわさびなどを多量に使用した料理を食べ過ぎると、下痢などを起こすことがあるので適量を心がけましょう。
胡椒
効果
黒コショウの辛味成分ピペリンには、血管を広げて血液の流れを促す作用があり、冷えや血行が悪い時におすすめです。血液の流れを良くすることで、代謝をアップさせ、脂肪燃焼にもつながります。
ニンニク
アリシン:抗菌、抗脂質異常症、抗ガン、動脈硬化抑制、抗血栓など ビタミンB1の吸収を高め疲労回復効果がある
唐辛子
カプサイシン:体熱産生促進、発汗、体力維持、抗炎症、抗ガンなど
バジル
名前 バジル、スイートバジル、basil
和名 メボウキ(目箒)
学名・読み方 Ocimum basilicum [オキムム・バシリクム]
科名 シソ科
使用部位 葉
特徴
シソ科の一年草で、種類は150種以上あると言われています。中でもスイートバジルと言われるものが料理など多くに使用されています。学名のbasilicumは、ギリシャ語で「王者にふさわしい」を意味するbasilikonという言葉が由来です。王家の庭に魔よけ用に植えられていた歴史からきています。他の説では、ローマ神話の動物であるbasilisca(ラテン語)が由来とも言われています。この動物はアフリカの砂漠に住み、この息に触れたりにらまれた人は死んでしまうと言われた爬虫類です。その毒を消すとされるハーブとバジルが関連付けられたと言われています。
バジルの効果効能
バジルは消化を促進し、胃腸の不調に働きかけます。胃炎や胃酸過多、胃痙攣などの症状を緩和します。また、神経系にも働き、イライラや不安、不眠の改善、集中力アップなどに役立ちます。
作用
•健胃作用•消化促進作用•抗菌作用•鎮痙作用•抗うつ作用•抗アレルギー作用
適応
•胃炎•胃酸過多•胃痙攣•イライラ
クローブ
名前 クローブ、clove
和名 チョウジ(丁子)、チョウコウ(丁香)
学名・読み方 •Eugenia caryophyllata [エウゲニア・カリオフィラタ]
•Syzygium aromaticum
科名 フトモモ科
特徴
クローブは中高木の常緑樹です。10m程の高さになるものもあります。日本では丁子や丁香と呼ばれ、古くから生薬や香りに使用されていました。香辛料としても中国をはじめとして世界中で使用されています。蕾のうちに花を収穫すると、スパイシーな香りが出てきます。クローブの名前は、蕾が釘の形に似ていることから、フランス語で釘を意味するclouが由来になっています。
クローブの効果効能
精油はオノイゲールという殺菌力が高い成分が主成分です。歯痛や局所麻酔として使われます。ハーブティーは食後に飲むことで消化を促進することと、口臭予防になります。ゴキブリなどの殺虫剤としても使えます。
作用
•抗菌作用•鎮痛作用•麻酔作用•消化促進作用•殺虫作用
適応
•口腔粘膜の炎症•消化器系の不調•頭痛•歯科領域の疼痛•口臭
シナモン
名前 シナモン、cinnamon
和名 ケイヒ(桂皮)、ニッケイ(肉桂)、ニッキ
学名・読み方 Cinnamomum zeylanicum [キンナモムム・ゼイラニクム]
科名 クスノキ科
使用部位 樹皮
特徴
樹高13m程になる高木です。世界の3大スパイスとして、クローブ、ペッパーと共に広く知れ渡っています。古代エジプトでは、防腐作用と殺菌作用が知られ、ミイラを保存する薬剤として使用していました。
シナモンの効果効能
血行促進に優れるので、冷え性の人におすすめのハーブです。悪寒や発熱時にもいいです。粘液の排出を促進するので、同時に風邪の症状も緩和してくれます。また、消化促進の作用にも優れるので、食後に飲むことで胃腸をサポートしてくれます。吐き気や消化不良、お腹の張りも解消してくれます。
作用
•消化促進作用•駆風作用•抗菌作用•血糖調整作用
適応
•消化不良•鼓脹•吐き気•発熱
生姜
名前 ジンジャー、ginger
和名 ショウガ(生姜)
学名・読み方 Zingiber officinale [ジンギベル・オフィキナレ]
科名 ショウガ科
使用部位 根茎
特徴
古くからスパイスや薬草として世界中で使われている植物です。草丈1.5m程になる多年草です。ハーブやアロマ、食用には主に根茎の部分が使われます。学名のZingiberは、サンスクリット語のsrngaveraから変化していると言われています。srngaが角、veraは体を表します。根が鹿の枝角をした形であることが由来です。
ジンジャーの効果効能
血行促進の作用に優れます。体を温め、代謝を高めます。 そのため、冷え性の人や風邪の引きはじめ、発熱時、むくみが気になる人に効果的です。その他消化促進や胃のむかつきを抑える作用があるので、乗り物酔い、つわり、吐き気に効きます。また、乾燥させたジンジャーは特に、関節炎などの炎症性疾患の緩和に効果的です。乾燥させることで、ジンジャロールという成分が、ショウガオールに変化し、より消炎や鎮痛作用が強まるためです。
作用
•消化機能促進作用•利胆作用•制吐作用•陽性変力作用•消炎作用•鎮痛作用•血行促進作用
適応
•消化不良•つわり•乗り物酔い•関節炎•炎症性疾患
しびれ鍋レシピ
基本のしびれダレ
☆生姜(おろす) 1片 10g
☆ニンニク(おろす) 1片
☆花椒、山椒、胡椒 各小さじ1/4
☆唐辛子粉末 小さじ1
☆油(中華、和風=ごま油 洋風=オリーブオイル) 大さじ3
中華バージョン【四川風麻婆しびれ鍋】
材料 2人分
☆基本のしびれダレ
☆五香粉 小さじ1/4
☆鷹の爪 2本
☆甜面醤、豆板醤 各小さじ1/2
具
豚薄切り肉 150g
木綿豆腐 1/2丁 200g程
しめじ 50g
もやし 40g
ニラ 40g
白ネギ 50g
スープ
水 400㏄
鶏ガラ粉末 小さじ2
赤味噌(八丁味噌) 大さじ1
作り方
1フライパンに☆を入れて炒める
2木綿豆腐は2~3㎝幅にカット、しめじは石づきをとってばらし、ニラは5㎝幅でざく切り、白ネギは斜めざく切りにする
3土鍋に具、スープ、1を入れて煮込む
洋風バージョン【ハーブ&スパイスしびれ鍋】
材料 2人分
☆基本のしびれダレ
☆ガラムマサラ 小さじ1/4
具
〇豚ひき肉 50g
〇鶏ひき肉 50g
〇生パセリ(みじん切り) 5g
〇小麦粉 小さじ1
〇卵 1/2個
〇ドライバジル、胡椒、クローブ粉末 各適宜
〇塩 少々
△じゃがいも 100g
△人参 50g
△玉ねぎ 100g
△水 400㏄
△固形ブイヨン 1個
△ハーブミックス、ローズマリー 各小さじ1/4
△生姜 10g
△ブーケガルニ(セロリ、パセリ、ローリエ)
シイタケ 30g
赤パプリカ 40g
キャベツ 100g
(パクチー 適宜)
作り方
1フライパンに☆を入れて炒める
2じゃがいもは1/2に大きくカット、人参は一口大の乱切り、玉ねぎは1㎝幅にカット、シイタケ、赤パプリカは一口大にカット、キャベツはざく切りにする
3〇を全て合わせて捏ね、8個の肉団子を作る
4土鍋に△を入れて、沸騰したら10分煮込み、ブーケガルニを取り出したら、1、3、シイタケ、赤パプリカ、キャベツを入れて煮込む
※お好みでパクチーを ※エビやあさりを入れる?
和風バージョン【2種のしびれダレで食べる水炊き】
材料 2人分
具
鶏もも肉 100g
生鮭 100g
えのき 50g
大根 50g
白ネギ 30g
豆腐 50g
白菜 50g
(春菊など)
タレ
<しびれ油>
☆基本のしびれダレ
ポン酢
ゴマダレ
作り方
1しびれ油の材料を全てフライパンに入れて炒める
2ポン酢、ゴマダレにしびれ油を小さじ1~2程加える
(ゴマダレ:練りごま・水・米酢 大さじ1、醤油・砂糖 大さじ1/2)
最後に
刺激のある食べ物は、私たちにやる気とパワーを与えてくれます。ただ、辛いだけではなく、しびれの快楽を味わうことができます。是非レシピ活用して、しびれ食を味わってください。