美容の大敵「血糖値の急上昇」GI値の仕組み

GI値

著者:池上淳子
管理栄養士/美容食インストラクター
日本ビューティーヘルス協会 会長
池上淳子

はじめに

糖質(炭水化物)を摂れば、血中の糖量が増えて血糖値が上がります。これは当然の事ですが、問題は急激に上がり過ぎることにあります。同じ量の糖質を含んでいる食べ物を摂っても血糖値の上昇量は食べ物や食べ方により異なります。この現象は1981年カナダ人研究者であるデヴィット・ジェンキンス氏によって報告されました。

参考
健康のためにGI値を意識した食事を
https://www.kyoundo-hospital.jp/wp/wp-content/uploads/2019/09/20190925.pdf

Jenkins DJ, Wolever TM, Taylor RH, Barker H, Fielden H, Baldwin JM, Bowling AC, Newman HC, Jenkins AL, Goff DV., Glycemic index of foods: a physiological basis for carbohydrate exchange., Am J Clin Nutr., 34, 362-366., 1981
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6259925/

食後高血糖による弊害

食事を摂ると、エネルギーの素となる糖が体内に吸収され、血糖値が上がります。すると膵臓からインスリンが分泌され、血糖値を下げて通常の血糖値を維持するように恒常性が働きます。その時、多量のインスリン分泌がされることで、脂肪合成が盛んになり肥満になったり、多くの糖とタンパク質がひっついて、体タンパク質が糖化を起こし、AGE:老化促進物質を作り出し、シミやシワの原因になります。

食後の血糖値上昇
しわ

その為、食後急激に血糖値の急上昇を抑制し、ゆっくりと血糖値を上げる為の食品や食事方法が推奨されています。

GI 値(glycemic index)とは

 グリセミック指数とは、食品ごとの血糖値の上昇度合いを間接的に表現する数値です。グリセミック・インデックスまたはGI値とも表現されます。

GI値のしくみと算出方法

食品の炭水化物50gを摂取した際の血糖値上昇の度合いを、ブドウ糖(グルコース)を100とした場合の相対値で表しています。血糖値の時間変化をグラフに描き、その曲線が描く面積によってGI値を計算します。その為、高血糖状態をどおくらい維持するかが示されます。

式:GI値=
(「試料」摂取時の血糖値上昇曲線の面積/「ブドウ糖」摂取時の血糖値上昇曲線面積)× 100

引用: 帝人株式会社

基準試料が異なればGI値は変化します。糖質を多く含み、精製された食品を使用する場合が多くあります。欧米では主食である白パン、日本では主食である米飯が基準となることがあります。

同じ物を食べても血糖の上がり方には個人差があります。そこで10人以上で測定して平均をとるという規則がつくられています。

具体的には、GIを知りたい食品の糖が50gだけ入っている量にして食べます。食べ終わった直後、15分後、30分後、45分後、60分後、90分後、120分後に採血をして血糖を測定します。その測定値を結んだ線と横軸で囲まれる部分の面積を計算します。これを血糖上昇曲線下面積と呼びます。一般的に食後上昇した血糖は2時間以内に元に戻る為、このような方法が行われています。

次に同じ人が基準となる食品で同じことを行います(白パンや米飯など)。そしてGIを知りたい食品の、血糖上昇曲線下面積を、基準の食品の血糖上昇曲線下面積で割ります。このように求めて10人以上の平均値が計算されます。これにより食品のGIが決定します。こういった研究は糖尿病などがない健康な人で測定される場合が多くあります。

食品GI値表

※表中の数値は食品100gあたりの血糖値上昇指数を表したもの

GI値:
70以上「高GI食品」
56~69「中GI食品」
55以下「低GI食品」

参考
シドニー大学  グリセミックインデックスリサーチ
https://glycemicindex.com/gi-search/

GI値を指標とする糖尿病食事療法の試み
The tiral of diet cure about Diabetes Melitus which index GI

グライセミック.インデックス
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jisdh1994/14/3/14_3_156/_pdf

個人としてのGI値を考える

実際の食事では、ひとつの食品のみを食べるのではなく、複数の食品を一緒に食べます。そこで食品ごとにその食品からの糖の重量とその食品のGI値を掛け算し、それを食事で摂取した全ての食品について合計し、糖の全摂取量を割ります。これを食事のGIとします。

例)ある食事を作る際、3種類の食材があるとします。その食材に含まれている糖量は120gと70gと10g、GIは60、50、85だとします。

(120×60+70×50+10×85)÷(120+70+10)=57.75 →この食事のGI値

しかし、例えばご飯を食べる際、納豆などの粘り気が強いものや、食物繊維の豊富な野菜等と一緒に食べるとGI値が低くなるという「食べ合わせ効果」が報告されています。

ウナギどんぶり

これは、消化、吸収の際、食品同士が影響をし合う為です。こういった事を考えると、計算したGIと実際のGIは合わない事が発生します。

このような事態はありますが、それでも計算してGIを求める事で、ある程度の習慣的な個人としてのGI値を把握する事ができます。

GI値が糖尿病予防や治療に効果的か

様々な研究がされています。習慣的なGI値が高い食品をよく食べるほど糖尿病にかかりやすいとされ、逆に糖尿病予防にはGI値の低い食習慣の方が良いといわれています。またGIが低い食事の方が、ヘモグロビンA1cが下がるとも言われています。

但し研究ごとで見ると習慣的なGI値の効果はあまり一致しないとも言えます。GI値が低ければ食べても良い、と決めつけるには時期早々と言えるかと思われます。

参考
GI値(グリセミック・インデックス)が血漿インクレチンにおよぼす影響について
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010927805.pdf

糖尿病患者における食品の摂取順序による 食後血糖上昇抑制効果
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/53/2/53_2_112/_pdf/-char/ja

GI値は指標に過ぎない

以上のように、GI値は食後上昇する血糖値の面積を、10人以上の平均値で求めたものです。当然研究により、GI値の変動があります。あくまでもGI値はひとつの指標に過ぎません。参考程度にとどめ、こればかりを意識し過ぎないようにしましょう。

また、ひとつの食品だけを摂ることは無く、複数の食品が混ざって食事は行われます。水溶性食物繊維は食後の血糖値の上昇を穏やかにする働きがあります。食事の中にはこういった血糖値上昇抑制効果のある食材が多数混ざり合う事で、急激な血糖値上昇を抑える事は可能です。

多くの食材をゆっくり食べる事が重要

食事は「三角食べ」が良いとされてきています。様々な食材を一緒に口に入れる事で口内調味がされ、美味しく食べられるという伝統的な食べ方です。

べジファースト(野菜を先に食べる)によって血糖値上昇抑制効果が期待されるようになり、食べ順が意識され、野菜→タンパク質→炭水化物 の「コース食べ」が推奨されるようになってきています。

しかし、これは「野菜→ご飯」の食べ方と「ご飯→野菜」の食べ方を単純に比較した結果から見いだされたものです。そう考えると「三角食べ」は決して血糖値を上げる食事とは思えません。はじめから炭水化物にがっつくことは良くありませんが、様々な食材を一緒に摂る事により、ゆっくりと噛んで食事する事ができます。

その為、問題は単品食だと思われます。例えば、ラーメン、うどん、カレーライス、パン、おにぎりなど炭水化物過多の単品の食べ物です。こういった食事は少ない食材である場合が多いということと、あまり噛まず流すように早食いする傾向になりやすかったりします。

その為、単品の食事を摂る場合は、副菜でサラダを追加したり、トッピングで肉や野菜を追加し、単品であっても「三角食べ」を目指せるバランスに整えていく事を勧めます。

参考
グライセミックインデックス(GI)の有用性と問題点
http://www.mac.or.jp/mail/200201/02.shtml