麹の驚異の美容効果|手作り麹化粧水・パック

麹の美容効果と活用法

著者:池上淳子
管理栄養士/美容食インストラクター
日本ビューティーヘルス協会 会長
池上淳子

麹との出会い

毎年冬になると、味噌づくりをします。味噌は大豆と米麹と塩で作るのですが、茹でて潰した大豆と米麹・塩を素手で混ぜます。すると味噌づくりの後、自分の手を見て触って感動します。一皮剥けたように白くなり、キメが細かくスベスベ、触っているだけでシルクのような肌になるのです。そして毎年思います。

「この麹、顏にも塗りたい」

麹化粧水、麹パックを手作りしてみよう!と気持ちを切り替えました。そしたらついでに麹について徹底的に調べ上げ、食べた時の効果、塗った時の効果など、色々試しながら、そして麹から作られるコウジ酸についての美容効果など調査し、まとめてみました。

手がすべすべ

麹とは

麹とは、米、麦、大豆などの穀物に麹菌(コウジカビ)を付けて、微生物を繁殖・培養したものです。その為には菌の増殖に適した温度や湿度の条件があります。米麹は米に、麦麹は麦に、豆麹は豆に麹菌をつけて培養したものになります。

麹は、増殖するために、菌糸の先端から酵素を作ります。デンプンを分解するアミラーゼ、タンパク質を分解するプロテアーゼなどの酵素は穀物に含まれるデンプンやタンパク質を分解します。デンプンを分解するとブドウ糖になり甘みが出て、タンパク質を分解するとアミノ酸になり、旨みや風味が出てきます。その為、発酵食品は深いコクと味わい深い美味しさになります。

麹と糀の違い

どちらも「こうじ」と読みます。糀というのは米麹をつくる時、蒸した米に麹菌が根付いていきますが、その様子が米の上に花が咲いているように見えることから、米に花と書いて糀になったと言われています。その為、米麹のみに使われる文字になります。

麹は古代中国から伝わった言葉で昔から使われてきた文字だそうです。米も含まれますが、麦や大豆など米以外の穀物で作られるものも全て含まれています。米麹、麦麹、豆麹などが代表的です。

糀

麹の健康効果

腸内環境を改善

麹に含まれるグルコシルセラミドは近年注目される善玉菌「Blautia coccoides」を増加させることが明らかになり、麹が腸内環境を改善するプレバイオティクスの機能をもつことが明らかにされました。

参考論文:佐賀大学 和食の基盤である麹(こうじ)の成分・グリコシルセラミドに腸内細菌改善作用があることを発見 

麹菌プロテアーゼがプレバイオティクスとなり、ビフィズス菌などを腸内で増やし、腸内環境の改善に役立つと言われています。麹菌は消化酵素であるプロテアーゼを多く菌体の外へ分泌することが特徴で、その特徴を生かして発酵食品の製造は行われています。

プレバイオティクスという言葉は,1995年にGibsonとRoberfroidにより提唱されたものである11).プレバイオティクスとは,大腸内の特定の細菌の増殖および活性を選択的に変化させることより,宿主に有利な影響を与え,宿主の健康を改善する難消化性食品成分と定義された.この概念によると,(1)プレバイオティクスは消化管上部で加水分解,吸収されないこと.(2)大腸に共生する善玉菌の選択的な基質であり,それらの細菌の増殖を促進し,または代謝を活性化する.(3)プレバイオティクスは腸内フローラのバランスを改善できる.(4)プレバイオティクスの摂取は宿主の健康に有益な効果をもたらす.これらの中で(2)のビフィズス菌などの善玉菌の選択的な基質であるというのが従来のオリゴ糖などのプレバイオティクスの特徴であり,麹菌プロテアーゼの場合とは異なっている.

引用元:次世代プレバイオティクス:麹菌プロテアーゼ 

プロテアーゼがプレバイオティクスになり、腸内で短鎖脂肪酸であるプロピオン酸や酪酸などを増加させることが明らかになりました。短鎖脂肪酸は発がんの抑制、大腸内の炎症抑制など健康効果があります。腸管免疫やバリア機能の改善にも期待できます。

また、短鎖脂肪酸により腸内の善玉菌であるビフィズス菌の生育が向上します。ビフィズス菌は私たちの健康を促進してくれているもので、様々な病気、便秘、アレルギー、インシュリン抵抗性などの抑制や予防の効果が期待できます。また精神性疾患にも良い影響があると言われています。通常プレバイオティクスとしては、水溶性食物繊維やオリゴ糖などが代表的なものですが、麹を使った発酵食品を摂ることも強力に腸内環境改善に役立つと考えられます。

参考論文:次世代プレバイオティクス:麹菌プロテアーゼ 

美腸を目指す

便秘予防効果

麹で作った甘酒を毎日摂取することで便秘予防、便秘改善効果が期待できます。甘酒には腸内の善玉菌のエサになる食物繊維(イヌリンなど)やオリゴ糖、ビタミンB群(代謝促進効果)などが豊富に含まれている為、腸内環境が改善し、便秘改善効果がみられたと推測されるそうです。研究では、濃縮した甘酒35gを水で約3倍に薄めて、約150㏄を1日1回、14日間毎日飲むことで便秘改善が認められたという結果でした。

参考論文:便秘に対する甘酒摂取の効果 

麹の美容効果(食べたときの効果)

保湿効果

八海醸造株式会社による研究で、麹甘酒を1日約120㏄を8週間飲み続けることにより、肌の保湿に効果があることが確認されました。冬の乾燥時期でも肌の水分が保持されたということです。麹甘酒に含まれるグルコシルセラミドにより、肌のバリア機能・保湿力が高まり、肌の潤いを維持、肌水分を逃しにくくするなどの効果が確認されました。

マルコメ味噌の研究では一日2杯の味噌汁を摂ることで、シミやくすみの減少、改善が明らかになりました。体感として肌の水分保持量が上がったという声もあったということです。肌の保湿に大切なセラミドを作る働きを活性化させることも明らかになりました。そのメカニズムは米麹の成分であるリン脂質などが、セラミド合成酵素を活性化させ、顆粒層のグルコシルセラミドからグルコースが外れ、角質層のセラミド量が増え、肌のバリア機能が向上したということです。

参考論文:
麹甘酒を毎日続けて飲むと 肌の保湿に効果あることが確認
マルコメ味噌 R&D Results 研究開発の成果

キメの美しさ

米麹から作った甘酒を100g、200gの群に分けて4週間摂取した時の肌のキメについて調査がされると、両群どちらも顕著にキメがよくなることが明らかになりました。100g摂取より200g摂取の方がより効果は期待できそうです。

参考論文:甘酒による美肌効果を確認!月桂冠

その他、クマ改善、ニキビ予防、たるみ予防など

その他、森永製菓の甘酒Labでは、甘酒の健康効果について研究内容が記載されています。「目の下のクマ改善効果」「自然免疫機能の促進効果」「皮脂抑制効果」「腸管バリア機能向上」「腸内環境改善効果」「毛穴たるみ抑制効果」「成分分析」「便秘改善効果」

参考論文:森永製菓 甘酒Lab

麹の美容効果

麹の美容効果(塗ったときの効果)

美白効果

麹に含まれるコウジ酸(kojic acid)は美白効果、シミ予防効果に役立つと言われています。シミは皮膚にメラニンという色素沈着により起こりますが、最も多い原因は紫外線の照射によるものです。皮膚に紫外線が当たると、皮膚を守る為にメラニンが作り出されますがその過程にはチロシナーゼという酵素の働きがあります。麹の発酵した液体の中から分離同定されたγ-ピロン化合物によりチロシナーゼの銅イオンをキレート化させて活性を阻害しチロシナーゼの活性の低下をさせます。メラニン重合体形成の過程で、メラニンポリマー生成の阻害効果も確認されました。紫外線誘導色素沈着、肝斑、老人性色素斑などにも効果があったという報告があり、細胞の白色化の作用が認められ、シミ予防及び美白効果が期待できます。

参考論文:
コウジ酸のメラニン生成抑制と各種色素沈着症に対する治療効果
美白製品とその作用

シミの原因であるメラニン。月桂冠は、清酒醸造で使われる米麹に含まれるデフェリフェリクリシン(Dfcy)の機能性研究を行ってきました。米麹には、古くから美白作用があることが知られていましたが、米麹に含まれるDfcyの美白効果については知られていませんでした。本研究レポートでは、マウス細胞試験とヒト皮膚モデル試験においてメラニン抑制効果と美白効果を見出したことを報告します。Dfcyは細胞試験において、ビタミンEより強いメラニン抑制効果を示し、さらにビタミンCよりも強い美白作用を示しました。デフェリフェリクリシンを肌に塗布して美白になるだけでなく、摂取によっても美白になる可能性もあります。

引用元:月桂冠総合研究所
肌ケア

麹を使った色々な食品

味噌

味噌の材料は大豆、米麹、塩、水です。茹でて潰した大豆に米麹と塩を混ぜて常温発酵します。麹菌によりタンパク質やデンプンが発酵により分解されて、甘み、旨み、香り成分などが生み出され味噌独特の風味が生まれます。

甘酒

甘酒は日本の伝統的な甘味飲料の一種で甘粥とも呼ばれています。米麹と水を一緒に煮て糖化したもので、麹菌が米のデンプンを分解、糖化させてデンプンをブドウ糖に熟し甘くなります。「飲む点滴」として江戸時代から夏の風物詩と言われ、俳句では夏の季語にもなっています。素早くエネルギーに変わり体力回復を行い、夏バテを防ぐと言われています。

塩麹・醤油麹

塩麹、醤油麹は、塩又は醤油に米麹と水を加えて発酵した調味料です。発酵することでブドウ糖やアミノ酸が生成され、甘み、旨みが増し、料理を美味しくコクのある深い味わいにしてくれます。また、肉や魚などに漬け込むと繊維が柔らかく美味しくなります。

発酵調味料

麹の調理活用法

塩麹を肉に漬けて美味しくする

鶏むね肉や豚もも肉などに塩麹や醤油麹を漬け込んで美味しくする方法があります。塩麹に含まれるタンパク質分解酵素のプロテアーゼ活性、酸性カルボキシペプチダーゼ活性により、うま味成分のグルタミン酸、アスパラギン酸などの遊離アミノ酸が増加します。「やわらかさ」「噛み切りやすさ」「ジューシーさ」「なめらかさ(キメが細かい)」「飲み込みやすさ」などの食感も増します。

肉は加熱をすると肉に含まれる水分が流出し、パサパサとした食感で美味しさが減退します。塩麹に漬け込むことで肉の水分が加熱により離れることなくジューシーになります。それにより滑らかさや飲み込みやすさも増します。

以上のことから、肉を塩麹に漬け込むことで、食感に対する好感度が上がり、うま味成分が増すことで美味しく食べることが出来るようになります。塩麹の使用料は肉の10%量が適量とされていて、時間は肉の部位や厚さにより数十分~数日まで様々です。

参考論文:塩麹に含まれる麹由来酵素および食塩の食肉調理への効果

肉の塩麹漬け

麹化粧水&パックの作り方

冒頭にも書きましたが、毎年冬に、生麹が手に入りやすいので、味噌、甘酒、塩麹など麹の発酵食品をたくさん作ります。味噌を作っている時、手の平で塩や麹の塊がなくなるように揉みほぐす、「塩切り」という作業を行います。その後大豆と合わせていきますがそれも素手で行います。味噌づくりが終わった後の手は見惚れるほど美しく、触るとスベスベ、キメが細かく、色は一肌剥けたかのように白くなるのです。その効果は数日続きます。麹の美容効果を嫌でも感じさせられる時です。

そこで、麹の美容力をお顔にも活用しましょう。麹化粧水と麹パックの作り方をお伝えします。

材料

生麹 75g →なければ乾燥麹でもOK
60℃の湯 300㏄
※生麹:60℃湯=1:4 の割合になります。

作り方

①生麹と60℃の湯を混ぜて、40~60℃の環境に3時間置きます。発酵機があれば使用しましょう。無ければ出来るだけ部屋で暖かいところに置きましょう。こたつや暖房の近くが良いですね♪

②茶こしとボウルを用意して、茶こしで濾します。

麹化粧水

茶こしで濾した水分が麹化粧水になります。清潔な容器にいれて、化粧水のように使用します。保存するときは冷蔵庫に入れて1週間以内に使い切りましょう。雑菌が入らないように注意してくださいね。なので、1週間使い切る量だけボトルなどの容器に入れて、それ以外は冷凍保存してください。これなら2~3ヵ月は持ちます。製氷皿に入れて小分けしておくと便利ですよ♪

麹パック

茶こしで濾した固形分がパックになります。つぶつぶが残っている状態なので、出来れば、ミキサーなどでペーストにしておくと便利です。出来たパックは化粧水同様に冷蔵庫保存で、1週間以内に使い切りましょう。1週間分だけ小さいタッパーなどに入れて冷蔵保存して使い、残りは1週間分ずつを小分けにしてラップでくるみ冷凍保存しましょう。

麹パック

実際に使ってみた使用感

下の写真は腕に麹パックをすりすり塗って、特に放置する時間もなく水で洗い流しました。同じ条件で撮った写真ですが、これだけの即効性があります。見た目に白くなることももちろんですが、触った感触が何とも気持ちいい♪スベスベ、ツヤツヤです。

麹化粧水も麹パックも保湿剤などは入っていないので、使用した後、パサッと乾燥したようになります。人によっては突っ張った感じに思うかもしれません。是非、保湿剤や馬油などのオイルで保湿してあげてください。

※画像の編集はしていません

最後に

今回は感動するほど、美容効果の高い麹について、色々調査してきました。麹に関する学術論文はたくさんあり、とてもご紹介しきれません。あらゆる疾病予防、美容効果が期待できることは間違いありません。

食べても良し、塗っても良しです。日本人は昔から麹の力を借りて保存食や発酵食品を作り日々の美味しい食事に役立ててきました。私たちの身体にとても相性の良い食品です。是非色々と活用してみてください。