『ハイレジ』のダイエット効果について管理栄養士が徹底解説

ハイレジのダイエット効果

著者:プロフィール
管理栄養士、美容栄養学専門士、美容食インストラクター 美容栄養学のプロとして、モデル育成、講演会講師、テレビ出演など、活動は多岐にわたる 美容栄養学のプロ育成の為に美容栄養学専門士資格認定講座を開設
日本ビューティーヘルス協会 会長
一般社団法人健康栄養支援センター 代表理事

池上淳子

ハイレジとは何か

ハイレジとはハイレジスタントスターチ【High Resistant Starch】を省略した言葉で、レジスタントスターチ(難消化性デンプン)を多く含んでいる食材、食品のことをいいます。

レジスタントスターチの定義

「健常人の小腸腔内において消化吸収されることのないでん粉、およびでん粉の部分水解物の総称」

レジスタントスターチとは

米の主な炭水化物はデンプンです。
デンプンは、多くのブドウ糖が結合したアミロースやアミロペクチンで構成されています。
生米はβ-デンプンで人の消化管で消化されません。
その為、加水・加熱調理(炊く)をすると、β-デンプンがα-デンプンとなり、消化できるデンプンに変化します。
米は粘り気が出て美味しく食べる事ができ、消化しやすくなります。
しかし、炊いたご飯が冷める過程で、米の構造に一部変化が起き、α-デンプンがβ-デンプンになり、消化されない部分ができます。
この消化されにくいデンプンのことをレジスタントスターチ(難消化性デンプン)といいます。
デンプンはブドウ糖が連なっている構造をしていますが、レジスタントスターチは、その形状が絡まっており、非常に硬い構造をしています(イメージでプラスチックの玉のようなモノ)。
その為、生米を水に浸しただけではその構造が緩むことはありません。
加水・加熱調理をすることで、硬い構造が緩み、消化できるようになります。
食物繊維は「人の消化器官で消化出来ないもの」と定義するのであればレジスタントスターチも食物繊維に含まれる事になります。
しかし、食物繊維は体内で機能性が生じる為、レジスタントスターチは食物繊維に含まれないと言う見解になる場合もあると言えます。
アミロペクチン:もち米など 老化しにくい
アミロース:うるち米 老化しやすい 
「ハイアミロースコーンスターチ」を加工したものがレジスタントスターチとして売り出されています。

アミロース アミロペクチン

ハイレジ(短鎖脂肪酸)健康・美容効果

≪腸内環境改善に効果的≫

消化器官で消化・吸収されず大腸にまで届き、そこで腸内細菌(善玉菌)のエサになります。
「エサになる」という表現は「発酵する」という意味です。
腸内の善玉菌により発酵されて、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸が作られます。
そして腸内は酸性となり、より善玉菌が増殖しやすい環境となります。
免疫力が上がる、便通を改善させるなど有効性が高く、肌の状態なども良くなります。

美腸

≪肥満予防≫

大腸で生成された短鎖脂肪酸が体内に吸収されると、脂肪細胞にある短鎖脂肪酸受容体に作用して脂肪細胞へのエネルギーの取り込みを抑え、脂肪細胞の肥大化を防ぐと言われています。
また、神経細胞にある短鎖脂肪酸受容体にも作用し、交感神経系を介してエネルギー消費を促すなど、エネルギーバランスを整える働きがあると言われています。

ダイエット

≪食欲の抑制≫

酪酸やプロピオン酸は腸管のL細胞からGLP-1のほかPYYのような腸管ホルモンも分泌します。
GLP-1やPYYは、脳に作用して食欲を抑える働きがあり、満腹感を持続させて過食を防ぐことが知られています。
また、酢酸はそれ自体が脳に直接作用して食欲を抑えるという研究報告もあります。

≪発ガン予防≫

短鎖脂肪酸は腸内を弱酸性にすることで有害な二次胆汁酸を生成しにくくする為、大腸ガンの予防に効果があると言われています。
また、酪酸には、大腸細胞の異常な増殖を抑える、アポトーシスを促す、大腸細胞の病変を抑えるなどの作用で大腸ガンの発症を抑えるといわれています。
プロピオン酸は肝臓ガン細胞にある短鎖脂肪酸受容体に作用して、肝臓ガン細胞の増殖を抑えるという研究報告があります。

≪糖尿病の予防≫

酪酸には腸管にあるL細胞に作用して、腸管ホルモンであるGLP-1の分泌を促す作用があります。
GLP-1は糖尿病を予防・改善する作用があり、インスリンを分泌する膵臓β細胞数の減少を抑えたり、インスリン分泌を促す作用があります。
GLP-1受容体との作用性を高めたGLP-1受容体作動薬は糖尿病治療薬のひとつとして使われています。

その他、血糖値上昇抑制効果が言われていますが、消化されないデンプンの為、当然血糖値の上昇は通常のデンプンを食べる場合に比べて抑えられます。
また、糖質として利用されない為、通常の糖質代謝のような余ったエネルギーが中性脂肪になる事はありません。

短鎖脂肪酸の生理活性の論文
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jos1996/46/10/46_10_1205/_pdf/-char/ja

独立行政法人の農畜産業振興機構の公式HP
「レジスタントスターチを豊富に含むハイアミロースコーンスターチ分解物の機能と食品への利用 」
https://www.alic.go.jp/joho-d/joho08_000316.html

難消化性デキストリンとレジスタントスターチ

レジスタントスターチによく似たものに難消化性デキストリンがあります。
デンプンはアミラーゼによって加水分解されデキストリンになります。
分かり易く言うと、デンプンを構成するアミロースやアミロペクチンがブツブツ切断されたものです。
デキストリンは小腸でさらに分解され、マルトース(ブドウ糖が2つ結合したもの)になり、最終的にはブドウ糖(グルコース)として吸収されます。

 デンプン
(ブドウ糖が多く結合したもの)

 デキストリン
(デンプンのブツ切り)

 マルトース
(ブドウ糖が2つ結合したもの)

 グルコース
(ブドウ糖)


つまりデキストリンとは、デンプンとマルトースの中間物です。
デンプンを焙焼し、デンプンの構造(α1-4, α1-6結合)を一部変えた後、アミラーゼで加水分解します。
その中の水溶性のものだけを取り出したものが難消化性デキストリンです。
これもレジスタントスターチや食物繊維と同様の効果をもたらします。
でも厳密には、水素と結合しやすく水とも親和性を持つことから機能的にはレジスタントスターチよりも水溶性食物繊維に近いと言えます。

5種類のレジスタントスターチ

•タイプ1:

外側の殻が固く物理的に消化できないタイプ。
豆類、種子類、未精製の麦などに多い。 
→不溶性食物繊維、セルロース

レジスタントスターチ

•タイプ2:

自然に食品のなかに入っていて、生の状態だと消化できないタイプ。
ジャガイモ、グリーンバナナ、トウモロコシなど

じゃがいも

•タイプ3:

タイプ1とタイプ2に熱を加えて、一旦冷やした場合に発生する。俗に言う「老化でんぷん」。
この状態になると、再加熱してもレジスタントスターチの効果が残る。
加熱する場合は70℃くらいで。
冷や飯、ポテトサラダ、枝豆など →β-デンプン

冷や飯がハイレジ

•タイプ4:

化学合成されたレジスタントスターチで、サプリなどに使われる。
体への反応に違いがあるかは不明。

•タイプ5:

アミロース脂質複合体。
デンプンが多い食品を油で調理したときに発生。
油調理したもの、チャーハンなど。 

穀物デンプンはその粒内に内部脂質を約1%含んでおり,その脂質とアミロースの相互作用も糊化,老化に作用している。
アミロースは6個のグルコースが一巻きになった形をしており,一部のアミロースはそのなかに脂肪酸を取り込んだアミロース脂質複合体となって存在している。
アミロース脂質複合体はアミロペクチンよりも熱に対して安定であり,炊飯時に熱糊化しにくい ことが認められている。
・・・ということは、「アミロース脂質複合体」という言葉は、単にデンプンを油で加熱したらできるものではないといえます。
炊飯したご飯に油をいれてもα-デンプンはすでに水を抱き込んでいますので、油ははじかれてしまい、中に入り込むことは困難と考えられます。

レジスタントスターチの摂取方法

1.いったん食品を加熱
2.冷蔵庫に入れて一晩放置
3.そのまま食べるか、軽く温め直す

ハイレジは消化できないもの

消化できない生食、劣化・老化させたもの
消化できる栄養素として摂る事と、真逆で、消化できないものを食べようとしていることです。

飢餓の時代では、栄養にならない食べ物など受けられるものではありません。
飽食時代だからこそ受け入れられている食品と言えます。
食べ過ぎが健康被害を起こさせていることが多い現代だからこそ受けられることといえます。

ハイレジダイエットの効率を良くする調理法

基本的に生食が1番多く含んでいる食材が多いですが、ハイレジ食品は生食できない食品が多いので調理は必須です。

1位:蒸して調理

レジスタントスターチの配合量を生食の85%に抑えることができます。
ハイレジ食品を調理した中で1番レジスタントスターチを多く保つことができたのが蒸した方法です。
とうもろこし、じゃがいも、いんげん豆など

蒸し調理

2位:茹でて調理

レジスタントスターチの配合量を生食の75%におさえることができます。
茹で調理は2番目にレジスタントスターチを効率よく取る方法です。
パスタ、大麦、レンズ豆など

不向きな調理法

電子レンジを使う方法で50%に減ります。

食品ごとの調理ポイント
(劣化・老化させるポイント)

白米:
水に小さじ1杯のココナッツオイルを混ぜて炊飯してから冷蔵庫に一晩置く
ジャガイモ:
柔らかくなるまで茹でたら、そのまま放置して冷ます
再加熱のときは、70度を超えないほうがレジスタントスターチが残りやすい。
その他:
人参、サツマイモ、ビーツ、カボチャ、リンゴなど
白いんげん豆:
100グラムの中に1番レジスタントスターチが多く含まれている、レジスタントスターチの王様は白いんげん豆です。また白いんげん豆は2006年にテレビで間違った食べ方が紹介され、生食で食べた人が食中毒になるという事件がおきました。
食べる時は蒸したり、茹でるなどしっかり調理しましょう。

加熱をして一旦冷ましたレジスタントスターチは再加熱しても良いですが、70℃以上の高温は使わないようにしましょう。

ハイレジダイエットの注意点

レジスタントスターチの1日の摂取量は50グラム程度にしましょう。しかしこの根拠は不明です。
レジスタントスターチは難消化性デンプンという名前の通り、消化されにくいのが特徴です。
逆に摂りすぎてしまうと消化不良で胃腸など消化管に負担をかけますので注意しましょう。消化管の調子が悪い時は避けるべきです。

炭水化物を制限している人にとっても、「冷ましたご飯」なら太らないと言い大量に食べる方がいますが、止めた方が良いでしょう。
レジスタントスターチは言い方変えれば「劣化・老化したデンプン」です。
味、風味、美味しさは炊き立てと比べると格段に落ちます。
進んで劣化したデンプンを摂取する事はおススメすることはしません。

食べる時間帯について

食べる時間帯がある訳ではないです。
個人的な見解では、朝食や昼食は活動する為のエネルギー源が必須です。
その為エネルギ―に変換される栄養のある食事を摂る事が大切です。
レジスタントスターチはエネルギー・栄養にならない消化出来ないものですので、食べるなら食後活動を多くしない夕食が良いでしょう。
また夜遅い時間の食事は肥満を促進しますので、レジスタントスターチを上手に取り入れるのは良い方法と思われます。

ハイレジ

最後に・・管理栄養士として言いたいこと

近年機能性成分や食物繊維、また今回のテーマであるハイレジなどダイエット効果を期待する食品が注目を浴びています。
「人の消化器官で消化されないもの」だからこそ、エネルギーにならず、脂肪にも変わらないと利用される方が多くいますが、通常、人は何のために食事を摂るのか・・目的は色々とありますが、大きな目標の一つとして「栄養を摂る」と言うことがあります。
人が健康に生きていくために栄養は必須なのです。
飽食時代で、カロリー過多、運動・活動不足による消費エネルギーの低下などで肥満が深刻になり、人が必ず行わなければいけない営みの「栄養を摂る」と言うことが軽視され、「栄養にならない・消化されないモノ」が注目されるという皮肉で、後ろ向きで、危険な状況が隣り合わせであると言うことを認識しながら上手に生活に活用して頂きたいと思います。
レジスタントスターチは、腸内で短鎖脂肪酸を生成し、その短鎖脂肪酸は脂肪生成抑制以外にも腸内環境を良くしたり、ガン予防効果など人への有効性は多く認められています。
しかし良いからとそれを食べる事が全てになってはいけません。
あくまでも人が生きていく上で欠かせない5大栄養素(糖質、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル)をバランスよく摂った上での有効性であることはご理解頂きたいと思います。   

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