ダイエットを始めてすぐに3kg体重減少する理由

著者:プロフィール
管理栄養士、美容栄養学専門士、美容食インストラクター 美容栄養学のプロとして、モデル育成、講演会講師、テレビ出演など、活動は多岐にわたる 美容栄養学のプロ育成の為に美容栄養学専門士資格認定講座を開設
日本ビューティーヘルス協会 会長

糖質制限ダイエットで痩せないのはなぜ?

数あるダイエットの中でも、特に糖質制限ダイエットをすると、すぐに2,3㎏の体重減少が起こります。けれど、そのあとは中々体重が落ちません。そこには糖質制限ダイエットの落とし穴がありました。そのメカニズムを解明します。

糖質制限ダイエットとは

炭水化物抜きダイエット、ローカーボダイエット、低糖質ダイエット、、など様々な名称があるが、いずれも、炭水化物や糖質を極端に減らして、その代わり肉や魚などのタンパク質、油などは制限無し、、という偏った食べ方のダイエット法である。

「アトキンスダイエット」
糖質制限ダイエットの産みの親:アメリカの医師、ロバート・アトキンス氏が考案したダイエット法。

通常一日200~300gの炭水化物の摂取量を20~40gと非常に少なくする。そうして体内の糖を枯渇させることで、糖の代わりに脂肪がエネルギーとして使われる状態に誘導する。アトキンスダイエットは、誘導段階として最初の2週間、糖質20g以下、そこから減量段階で40g前後、、徐々に増やしていくものである。

このように炭水化物を極端に減らして、タンパク質や脂質過多の生活をしていると、当然偏りが生まれる。長期にわたることで、心臓疾患、脳卒中、高血圧などの発症リスクが数倍に跳ね上がる。

肉食女子

WHOをはじめとして、日本の糖尿病学会も糖質制限については難色を示している。短期的に糖質制限をすると、体重減少するが、長期に渡りするものではない。アトキンスダイエット自体も、限られた日数を謳っている。間違った知識を元に身体に負荷をかけると、あらゆる歪みが生まれ健康を害するリスクが上がる。

おかずが多いと、塩分も過多になり高血圧などのリスクが上がる
脂質が増えて、LDLコレステロール値が上がる
肉や魚などのタンパク質が増えて肝臓や腎臓の疾病リスクが上がる
 など

参考
糖質制限ダイエットを考える
https://muroran-it.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=8641&item_no=1&page_id=13&block_id=21

低炭水化物ダイエットの減量効果に関する文献的検討
https://osaka-shoin.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=4046&item_no=1&page_id=3&block_id=24

糖質制限食について
https://www.osaka-eiyoushikai.or.jp/topics/pdf/topics_161.pdf

炭水化物(糖質)食べて太るメカニズム

炭水化物、糖質を食べる目的は身体のエネルギー源を摂る為である。糖質を食べると消化されたブドウ糖が血液中に入り、血糖値が上がる。すると、インスリンという血糖値を下げるホルモンが膵臓から分泌され通常の血糖値へ下げようと調整される。まずは、エネルギーとして使われる。身体は毎日たくさんのエネルギーが必要である。特に脳は、身体の約20%のエネルギーを消費する。

その為、もしもの場合に備えて、エネルギーを貯蔵するシステムが存在する。

まずは普通貯金のグリコーゲン。いつでも素早く引き出すことが出来る。貯金場所は主に肝臓と筋肉。更に多く糖質を摂った時は、中性脂肪として定期貯金される。だから、炭水化物(糖質)を摂り過ぎると太る。その話は今回はこの辺で横に置いといて・・

グリコーゲンの水分保持量

普通貯金のグリコーゲン。これは、多くの水分が必要となる。グリコーゲンは、その物質自体を体内に貯蓄しておくために質量の3~4倍の水分と結びつく性質を持っている。つまり細胞レベルで水分が必要となる。
少し糖質を摂り過ぎた場合、一見体重が増え、太ったと誤解を生む。さっと体重が増えるが、その多くは水分量が増えただけで体脂肪が増えた訳では無い。体脂肪がそんな簡単に生成される訳ではない。

貯蓄の上限量である
約2,000kcal分のグリコーゲンを保持するために必要な水分量は約3kg
と言われている。

骨格筋のグリコーゲン貯蔵量の限界 約1600kcal
→中~高強度運動(ジョギング、速めのランニング)を1時間以上持続すると1/3以下に減少→筋疲労

肝臓のグリコーゲン貯蔵量の限界 約400kcal
血糖は中~高強度運動中、活動筋はエネルギー源として活発に血糖を消費する。血糖値を一定に保つ為に肝臓は貯蔵グリコーゲンをグルコースに分解して血液中に放出する。 →中~高強度運動(ジョギング、速めのランニング)を1時間以上持続すると1/3以下に減少→肝臓からのグルコース放出が鈍り、血糖値が低下→脳のエネルギー不足を引き起こして中枢性疲労の原因になる。また血糖値低下は活動筋のエネルギー不足になり筋疲労になる。

1gのグリコーゲンは3~5gの水分を保持

筋グリコーゲンの貯蔵量は約400g(1600kcal)=1200~2000gの水分が増加
肝グリコーゲンの貯蔵量は約100g(400kcal)=300~500gの水分が増加
合計:1500~2500g

断食や糖質制限で体重が落ちる。 例えば、極端なダイエット法に「断食」がある。

食べなかったらどうなるか

成人が1日に必要とするカロリーは約2,000kcal程度(主に女性の場合)。2~3日断食したら2,000kcal分のグリコーゲンを使い切る為に十分な日数と言える。2,000kcal分のグリコーゲンを使い切れば、グリコーゲンを保持しておく為の水分約3kgが必要無くなる。不要な水分は汗や尿となって排泄される。

結果、3kg痩せる。

極端に言うとこんな感じ。

ダイエットの中でも特に糖質制限ダイエットをしている場合、体重減少はすぐに起こる。けれどそれは体脂肪を使っている訳では無く、体水分量が落ちただけに過ぎない。また、多少ケーキバイキングやW炭水化物を食べたとしても、きっちり、しっかりと翌日リセット食を心がければ戻る可能性が高い。

なるほど・・未来は明るい。

独立行政法人農畜産業振興機構 スポーツ選手の食事法https://sugar.alic.go.jp/japan/view/jv_0106b.htm

みっともないダイエットの恐ろしくも虚しいメカニズム

食事の質や量を減らすと、食欲が満たされず飢餓状態を生む。その状態が続くと、カラダは飢餓による生命の危機に備える。少量の食事でも生きていけるように基礎代謝量(生きていくために必要な最低エネルギー量)を下げる。しかし、基礎代謝を下げても、脳や心臓の活動レベルを急激に落とすわけにいかない。そこでカラダは、貯蓄されていたグリコーゲンを使い、脳の栄養をまかなおうとする。そのときに、3~4倍にあたる水分も同時に体外へ排出されるため、体重は減少し、見せかけの痩せ状態になる。

そして再び食事をしっかり摂ると、飢餓状態の身体は、優先的に3~4倍近い水分とともにグリコーゲンの結合をはじめる。飢えに備えるエネルギーとして、貯蓄レベルの高い中性脂肪として、筋肉の失われた腹や二の腕、あごの下に定期貯金する。そして、すぐに元の体重に戻る。

恐ろしくも虚しいリバウンドのメカニズムである

ずっとこの意味が分からなかった。ご飯を食べて身体のどこに水が溜まるんだろう。そのメカニズムが明確になった。せっかく食べずに頑張った努力は虚しくも、隠れ肥満を生み、健康を害するリスクが上がる。

「食べないのに痩せない」ではない!!

「食べないから痩せない」のだ!!

身体に必要な栄養をバランスよく摂り、規則正しい生活習慣を身につけ、適度な運動習慣を持つ。偏った食事や生活習慣は身体のラインを醜くし、疾病リスクを上げる。幸せに生きる為に心がけて欲しい。

ちゃんと栄養を摂ろう。

ちゃんと健康でいよう。

ちゃんと美しくいよう。

ちゃんと生きよう。

参考
生体電気インピーダンス測定にようr体水分量評価を利用した筋グリコーゲン測定法の確立
https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-26750320/26750320seika.pdf

What Is Water Weight, Anyway
https://www.womenshealthmag.com/weight-loss/a19950319/what-is-water-weight/

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