肥満の原因は「糖質・タンパク質・脂質」のどれ?
著者:池上淳子
管理栄養士/美容食インストラクター
エネルギーの単にはカロリーcalです。栄養素の中で、エネルギーになるのは糖質(炭水化物)、タンパク質、脂質です。ダイエットの為に、食事制限は良いのでしょうか。糖質は太るからといって極端な糖質制限は良いのでしょうか?タンパク質は食べても太らないのでしょうか。様々なダイエットや食の疑問があります。ではその疑問を解決していきましょう。
Contents
人は何故痩せたいのか
「痩せたい」という思いは多くの人が持っている願望であり、悩みです。
なぜ痩せたいのか?
「キレイになりたい」
「かっこよくなりたい」
「自信を持ちたい」
「健康を維持したい」等
様々な思いや悩みがあり、それを解決する為に「痩せたい」のです。それは、外見である見た目、内側である心情、疾病予防である身体の健康など、身体全体のバランスを保つ為に、肥満を避けたいと考える場合が多くあります。
太る原因
太る原因は、遺伝や薬の副作用などもありますが、殆どは、自分が行ってきた生活習慣や食習慣にあります。運動不足、活動力低下、睡眠不足、ストレスなど、現代社会で陥りがちな状況があり、そこに加齢が追加されます。年齢が上がると、基礎代謝量※が下がり、必要なエネルギーが下がるため、余ったエネルギーは中性脂肪として蓄えられて肥満になりやすくなります。
そして、特に気を付けないといけないことは、「食習慣」です。
現代人が陥りやすい、「飽食時代の栄養失調」こちらの記事を参照にしてください。
【ダイエット】なぜ太るのか 肥満を徹底分析
※基礎代謝量
厚生労働省 e-ヘルスネット 基礎代謝量
心身ともに安静な状態の時に生命維持のために消費される必要最小限のエネルギー代謝量。
エネルギーとは
人は生きていく中で、エネルギーが必要です。エネルギーは車のガソリンのようなもので、単位はcal(カロリー)で表現されます。様々な種類の栄養素の中で、エネルギー源になるものはエネルギー産生栄養素※、三大栄養素と呼ばれている糖質、タンパク質、脂肪の3つです。
※エネルギー産生栄養素(えねるぎーさんせいえいようそ)
出典:厚生労働省 e-ヘルスネット
食物中に含まれる身体に必須の成分のうち、たんぱく質・脂質・炭水化物の総称。
人間の身体になくてはならない栄養素のうち、エネルギー(カロリー)源となる「たんぱく質・脂質・炭水化物」を『エネルギー産生栄養素』と呼んでいます。以前は、三大栄養素とも言われていました。
なお、栄養とは、呼吸、消化吸収、排泄、運動、成長、繁殖などの生活現象を維持し、健康な日常生活を送るために必要な物質を外界から摂取し、これを利用し、不要なものを排泄しながら生命を維持していくことを指します。一方、栄養素とは、生活現象を営むために外界から摂取しなければならない物質のことであり、具体的には、たんぱく質やカルシウムなどがこれに該当します。このように、栄養と栄養素には、明確な違いがあるものの、混同もしくは誤って理解されている場合も多く見受けられます。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-013.html
エネルギー量
糖質1gあたり、4kcal
タンパク質1gあたり 4kcal
脂質1gあたり 9kcal
脂質は、糖質やタンパク質と比べて、同じ重さ当たりに含まれているエネルギーが大きく、2倍以上です。脂質はこのように多くのエネルギーを保持できる特徴があり、エネルギーの貯蔵として適しています。それは逆に言うと、身体に溜まった脂肪を燃焼させようとすると、相当のエネルギーを消費しないと減りにくいとも言えます。
エネルギー貯蔵物質「グリコーゲン」
動物の重要なエネルギー貯蔵物質のひとつである グリコーゲンは、グルコースが多数連なったものであり、生体内では多くの水分子と結合している為、重くなります。
1gのグリコーゲンは3~5gの水分を保持
筋グリコーゲンの貯蔵量は約400g(1600kcal)=1200~2000gの水分が増加
肝グリコーゲンの貯蔵量は約100g(400kcal)=300~500gの水分が増加
合計:1500~2500g
※詳しい情報はこちらをご覧ください。
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エネルギー貯蔵「脂質」
グリコーゲンに対して脂肪は疎水性が高い為、水とは結合しません。このため生体内では、結合している水を含めた実質的な重量当たりで比較すると、脂肪はグリコーゲンの約6倍のエネルギーを蓄えることができます。その脂肪があるおかげで、大量のエネルギーが貯蔵されており、カラダの機動性を損なうことはありません。
脂肪は最も適した生体物質であると言えます。
実際、成人では、数か月食べなくても生きていけるくらいのエネルギーが脂肪として蓄えられています (個人差はある) が、グリコーゲンは24 時間分しか蓄えられません。このように、グリコーゲンは短期的なエネルギー貯蔵形態であるのに対し、脂肪は長期的かつ大量の貯蔵形態といえます。
食べた油がカラダの脂肪になる訳ではない
油(脂肪)の多い食品を食べることが、体に脂肪がつく直接の原因ではありません。脂肪は3大栄養素の1つで、毎日の食事に欠かせない重要な栄養素です。エネルギー源以外に、細胞膜やホルモンの材料等、多くの働きがあります。
体に脂肪がついて体重が増えることは、エネルギー入出のバランスが悪い為です。消費以上のエネルギーを摂取すれば、体重は増えます。脂肪はエネルギーが凝縮されたものではありますが、食事から完全に脂肪を抜くことをしてはいけません。アーモンドやくるみ等の種実類やアボカド、胡麻などは、質の良い油で、食べ応えもあり、満腹感をもらたらせてくれます。「脂肪分の多い食べ物」と聞くと、揚げ物、ポテトチップス、フライドポテト、ケーキなどが浮かびます。これらと種実やアボカド等は同じカテゴリーになりません。
摂りすぎ注意の油
バター
生クリーム
肉の脂
サラダ油
マーガリン
ショートニングなど(市販の菓子や菓子パン、加工品に要注意)
美容・健康を意識した油
調理をするときのおススメ油
オリーブオイル
米油
ココナッツオイル
生で摂るときのおススメ油
亜麻仁油
えごま油
もちろん、魚油などは健康効果が高いものです 。いずれもカロリーは大さじ1程度で100kcalある為、摂り過ぎは注意です。1日の目安は成人女性で、500kcal程度です。
太る原因はなに?
カロリー過多、偏った食事、運動不足、それらは直接的に太る原因になります。カロリーは脂肪だけではなく、糖質やタンパク質でも摂り過ぎたらカロリー過多になり太ります。要は食べ過ぎが肥満の原因です。
肥満の原因として炭水化物を敵視する傾向が強くなっています。炭水化物はここ数年で悪役になり、手っとり早く体重を落とすための短期的なダイエットでは、まず炭水化物を抜く方法が選択されやすくなっています。
※詳しい情報はこちらをご覧ください。
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炭水化物の場合も、大切なのは摂取量と他栄養素とのバランスです。
糖質の多い食品として、果物とケーキを同じカテゴリーに入れてはいけません。問題なのは、精製された加工度の高い炭水化物です。砂糖・砂糖の入っている食品を制限するのは意味があります。砂糖は栄養価が低く、エネルギー量が高いものです。消化管からの素早く吸収され、血糖値を急激に上げて、脂肪生成を促進し、肥満のリスクが上がります。
血糖値の急上昇を抑制する食
摂って欲しい炭水化物は精製度の低い玄米・雑穀、全粒粉を使ったパンや麺類など
これらの炭水化物は食物繊維が豊富で腸内環境を整える働きもあります。ビタミン、ミネラルも豊富で血糖値の急上昇もありません。正に健康を支える大切なエネルギー源です。
また、果物も糖質は多いですが、食物繊維が豊富で血糖値の急上昇を抑制することができます。ビタミン、ミネラル、健康効果の高いファイトケミカル(植物のチカラ)も豊富な為、抗酸化作用も期待出来ます。但し、ジュースではなく、生フルーツの状態で摂りましょう。
肥満の原因は糖質orタンパク質or脂肪
答えは、全て肥満の原因です。
偏って食べないことが重要です。タンパク質であっても摂り過ぎるとカロリー過多になり中性脂肪が作られます。バランスの良い食事を心がけましょう。
最後に
「脂肪がそのまま体の中性脂肪にならない」「炭水化物を食べたら太るけど、タンパク質や脂質はどれだけ食べても太らない」 こんな言葉聞いたことありませんか?間違いです。
エネルギー源である三大栄養素は全て肥満の原因になります。
食事から摂るエネルギー量=消費するエネルギー量ここがバランス良ければ、太ることも痩せになることもなく、健康を維持できます。更にダイエットしたいのであれば、消費エネルギーを増やすために、活動量を上げたり、運動を行い、過度や偏りの食事、飲酒、おやつを避け、3食バランスよく食べていれば、正常の体になります。
身体は結果です。
良い結果をもたらし、いつまでも若々しく、美しく、健康を維持するために、何なら食べてもいいとか、これは一切食べない、、などの考えにならないように是非心がけてください。