生姜で温暖活【永久保存版】ショウガオールの必要性と作り方

生姜の冷え改善

著者:池上淳子
管理栄養士/美容食インストラクター
日本ビューティーヘルス協会 会長
池上淳子

生姜は、生で食べる時と加熱した時で成分が変化します。少し特殊ですね。 生姜は、根茎部を食べる香辛野菜です。独特の辛味や香りがあり、様々な料理に活用されます。 冷え性の女性が多い中、生姜の体ポカポカ効果が注目され、活用される方も多くいます。しかし生姜の体ポカポカ効果はどうすれば、本当に得ることができるのか、エビデンスレベルで解説をして徹底的に紐解きます。

植物の生姜

熱帯アジア原産の多年草で、草丈は50~70cmです。地下に肥大した地下茎を持ち、そこから鞘状になった葉の基部が茎のように地上に伸び、左右2列に葉をつけ、地下茎は8~10節に分かれています。

生姜の作り方

生姜のルーツ

原産地は、熱帯アジアであるインドなどと言われています。元々は肉や魚の防腐剤や医薬品として利用されていたそうです。インドの伝承医学書の中では、「生姜は神からの治療の贈り物」と記されていました。日本へは3世紀頃に中国から伝わり、古事記に、その存在が記されています。

生姜の活用

生姜は特有の香りと辛味を持つ野菜です。薬味、香辛料、菓子、料理、飲み物、漢方薬として幅広く利用されています。

生の生姜を「生姜:ショウキョウ」
蒸して乾燥した生姜を「乾姜:カンキョウ」→ウルトラ生姜とも呼ばれています。
生をそのまま乾燥したを生姜を「乾生姜:カンショウキョウ」

乾燥生姜

生姜の辛味成分

生姜の辛味成分はジンゲロール類で、 バニリルケトン類の代表的化合物です。鎖の炭素数は 8~14 の類縁化合物が存在しますが、6-ジンゲロールが最も多いと言われています。 この化合物の側鎖のヒドロキシ基の脱水反応で生成される 6-ショウガオールも辛味があり、 6-ジンゲロールより辛味が強いとされています。

生姜を加熱調理した時のジンゲロールからショウガオールへの変化を調査した研究

ショウガ中の 6-ジンゲロールの加熱調理による変化
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience/48/6/48_398/_pdf/-char/ja

5種類の調理法「 茹で,蒸し,炒り,焼き,電子レンジ」で加熱をした時の変化を調査。

各冷凍生姜15gを試料とし、解凍して使用。


冷凍生姜を容器ごと流水中で 25 分間解凍したものを非加熱対照用試料とした。

6 −ジンゲロール  19.93 μg/mL(生ショウガ換算 664.3 μg/g )
6-ショウガオール  0.42μg/mL (生ショウガ換算 14 μg/g )  
両化合物の濃度比は 98:2

茹で
0分 , 5 分,10 分,30 分,60 分間 100℃で茹でた。
60分茹でたことで、両化合物の 濃度比は 93:7

加熱時間(分)6-ジンゲロール μg/mL 6-ショウガオール μg/mL
019.370.42
518.630.55
1017.710.66
3018.070.91
6017.31.39

蒸し
5 分,30 分,60 分間 100℃に加熱した蒸し器で蒸した
60 分蒸したことで、両化合物の 濃度比は 92:8

加熱時間(分)6-ジンゲロールμg/mL6-ショウガオールμg/mL
019.930.42
519.390.48
3019.280.97
6018.61.51

炒り
2分,6分間、ホットプレートが180℃に達し、油不使用で炒った。
6分炒ったことで、両化合物の 濃度比は 97:3
みじん切り生姜を 3 分間加熱しても 6-ジンゲロールの減少は見られなかった

加熱時間(分)6-ジンゲロールμg/mL6-ショウガオールμg/mL
019.930.42
219.490.45
618.910.57

焼き
5 分間、180℃に予熱したオーブンで加熱した。

加熱時間(分)6-ジンゲロールμg/mL6-ショウガオールμg/mL
519.650.48

電子レンジ
20 秒間 、600W電子レンジで加熱した。

加熱時間(秒)6-ジンゲロールμg/mL6-ショウガオールμg/mL
2019.50.43

ジンゲロール(生の生姜)の効果・効能

・殺菌効果
・末端を温める
・免疫力の向上
 など

生の生姜に多く含まれるジンゲロール(1879年に英国のJC Thresh氏が発見)は、主に手足などの末梢部の皮膚血管を広げる作用があり、手足が温まる感じがあります。 生の生姜の皮近くに多く、最初に感じるピリッとした辛みが特徴です。

ショウガオール(加熱生姜)の効果・効能

・体の深部を温める
・冷え性改善
・脂肪燃焼効果(ダイエット)
 など

生の生姜を加熱・乾燥させるとジンゲロールの一部がショウガオール(1917年に日本の野村博氏が発見)に変化します。ショウガオールは胃腸の壁を直接刺激する作用と心臓から押し出す血液量(心拍出量)を増やす作用(強心作用)によって、カラダの芯の血流を増やして深部で熱を発生させます。体温を調節する受容体を活性化してアドレナリンの分泌を促し、体脂肪を燃えやすい状態(遊離脂肪酸)にし、脂肪を消費しやすくし、ダイエット効果も期待が出来ます。その加熱した生姜を乾燥させると、ジンゲロールとショウガオールの両方の働きが同程度となり、カラダ全体を温める働きがより得られると言われています。 じわっとくる辛みが特徴です。

ショウガオールを摂る方法

上記の研究より、茹で、蒸しの加熱調理を60分以上行うことで、生の3倍以上のショウガオールを作ることになり、多く摂ることが出来るコツになります。更にショウガオールを得るための方法は、加熱した生姜を乾燥させます。

80℃で3時間、その後3日間の天日干し

食品医学研究所 所長 平柳 要先生によると、より強力なショウガオールに変化させるためには加熱温度は80℃がいいそう。また、加熱時間は3時間が理想で、最低でも1時間は必要とのこと。他にも、生姜を煮てオーブンで焼いたところ(急乾燥)、ショウガオールの量は生のときに比べて約10倍にもなったという。(永谷園の実験)

「80℃で1時間加熱したらショウガオールが10〜15%に増え、3〜4時間では40〜50%に増えた」(平柳所長)

https://aria.nikkei.com/atcl/cc/nh/010700010/013000004/?P=3

10~15%増えるということは、 生の生姜が0.42μg/mLのショウガオールとして、0.462~0.483 μg/mL 。上記研究の100℃60分加熱したときのショウガオール量とほぼ一致します。

40~50%増えるということは、生の生姜が0.42μg/mLのショウガオールとして、0.588~0.63 μg/mL 。 これは、かなりの増量です。

ショウガオールたっぷり「粉末乾燥生姜」の作り方

手作りの粉末生姜
粉末乾燥生姜「乾姜」

1)生姜は皮ごと使う 土や黒くなって気になるところだけ取り除く

生姜の栄養
生姜は皮ごと使う

2)生姜の繊維を断ち切るように、縞模様と平行に2mm程のスライスにする

ショウガオール
生姜をスライス

3)保温水筒にスライスした生姜と熱湯を入れて蓋をし、3時間保温する

4)3時間保温して加熱した生姜を取り出し、ざるなどにあげる

ショウガを3時間加熱
軽く水けをきる
生姜水
保温した後にできる生姜水も料理やドリンクとして活用しましょう

5)ざるや野菜の乾燥ネットなどに並べて、 水分が飛ぶまで 3、4日天日干しをする
目安:冬3〜4日、夏1日程度
※天日干し以外では、120℃のオーブンで1時間加熱して乾かす方法もあります。

6)水分が抜けたら、ミキサーやミル、すり鉢でする等、細かくしましょう

粉末乾燥生姜の量

スーパーに売っている生の生姜はおよそ1袋100gです。
生の生姜 3袋:300gを使用 → 粉末乾燥生姜:20g
1日分の量の目安は小さじ1:約1g

毎日小さじ1の生姜

つまり、3袋の生姜で粉末乾燥生姜を作ると約20日分を作ることになります。作っておくと、ショウガオールの効果を維持したまま、約1ヵ月保存ができる。密閉できる食品保存容器やガラス瓶などに乾燥剤と共に入れて冷暗所に置けば、常温で半年くらいは保存可能です。一度にたくさん作っておくと便利です。

因みに私の摂り方は、上記の3袋分を作って1か月程かけて、摂ります。月1回の「粉末乾燥生姜」づくりをやっています。

粉末乾燥生姜の活用法

粉末乾燥生姜は、料理・ドリンク・スイーツづくりなど様々な活用ができます。料理は味噌汁やスープなどの汁物、カレー、シチュー、煮物、ハンバーグなど様々な活用ができます。またドリンクとして、小さじ1/2程を湯で溶かし、生姜湯として。就寝前のドリンクとしてもおススメです。

生姜湯
生姜湯

生姜の香り成分

香り成分
・ジンギベレン
・シトロネラール
効果:食欲増進や健胃・解毒・消炎・消臭作用など

生姜手作り

生姜の抗酸化性

6-ジンゲロール <  8,10-ジンゲロール  <  6-ショウガオール

生と加熱調理をした状態で、抗酸化性を調査した結果、加熱前後で差はありませんでした。その理由として、中の 6-ジンゲロールと 6-ショウガオールはどちらも抗酸化能を有り、2つを合計したところ、加熱前後に差は殆ど無いことがわかりました。生姜には6-ジンゲロール、6-ショウガオール以外にも多種類のジンゲロール類、ジアリルヘプタノイド類、アントシアニンなど多くの抗酸化物質が含まれている為、これらの物質が総合的に生姜の抗酸化力を安定させたと推察されます。

最後に

いかがでしたか?生姜を加熱するとショウガオールが生成されて、体を温かくする効果が得られる・・これは、そんな単純なものではありませんでした。

ショウガオールを一番得られる方法、作り方を細かく紹介させていただきました。

手間はかかります。でも難しくありません。誰でも作ることができます。そして、値段も高くありません。1か月、約300円ほどで得ることができるものです。粉末生姜は市販のものを買うこともできます。面倒であれば、そちらを活用してください。でも、とっても美味しいし、加熱時間の調整もできるので、ここは是非ご自身の体のため、大切な方のため、手作りにチャレンジしてください。

「冷えは万病の元」と言われます。冷えや平熱の低下は、免疫力を下げることに繋がります。体の熱をガンガン上げて、菌やウイルスに負けない強い体づくりを目指しましょう。

農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1811/01.html

日経ARIA  ショウガは加熱で効果UP 「80℃ショウガ」のススメ https://aria.nikkei.com/atcl/cc/nh/010700010/013000004/

ショウガ中の 6-ジンゲロールの加熱調理による変化
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience/48/6/48_398/_pdf/-char/ja

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