炎症について最もわかりやすい解説

炎症についての解説
炎症

著者プロフィール
池上淳子/美容食インストラクター、管理栄養士
池上淳子

炎症

炎症とは、身体の細胞や組織が病的、傷害性の刺激を受ける事で起こる生体の防御、修復反応です。

炎症の徴候

セルススの4徴候
発赤:赤くなる
腫脹:腫れあがる
発熱:局所の熱感
疼痛:圧迫されたような痛み

ガレノスの5徴候
 +機能障害

炎症
炎症

炎症の原因

外的因子
病原微生物による感染(主物的因子)
酸・アルカリ(化学的因子)
外傷・熱傷・放射線(物理的因子)

内的因子
アレルギーや代謝異常など

炎症の経過

急性炎症
 数時間から2~3週間

慢性炎症
 数週間から数年

炎症反応

炎症細胞とそれをコントロールする化学伝達物質のヒスタミンやロイコトリエンなどにより行われる。
炎症細胞には好中球のように急性期に活動するものと、リンパ球、マクロファージ、線維芽細胞のように慢性期で活動するものがある。

1組織の損傷

様々な外因により組織が損傷されると、崩壊した細胞や血小板などからヒスタミン、セロトニン、ロイコトリエン、プロスタグランジンなどの化学伝達物質が放出される。これらの物質が炎症メディエーター(仲介物質)となり、炎症反応が引き起こされる。

2血漿の滲出と炎症細胞の浸潤

放出されたヒスタミンなどにより血管拡張が起こり、血流の増加から局所に発赤、発熱を生じる。更に血管透過性の亢進(血漿中に含まれるタンパク質や血液中の白血球が血管壁をすり抜けて周囲組織に進出したり浸潤したりしやすくなること)が起こり、血液中から血漿が漏れ出し組織間液が増加する。これにより、局所の腫脹が生じる。また血漿中の局所ホルモンであるブラジキニンなどにより痛覚受容体が刺激され、疼痛が引き起こされる。ロイコトリエンなどには好中球などの炎症細胞を局所に集積させる作用があり、そこから放出されるリソソーム酵素や活性酸素によって炎症が更に増強される。

3組織の修復

ある程度急性期の炎症反応がおさまると壊死した組織を取り除き、欠損した組織を元に戻す修復作業が始まる。修復過程では、リンパ球やマクロファージ、線維芽細胞が主体となる。リンパ球は免疫反応を介して病原を排除し、マクロファージは好中球が処理できなかった病原体や壊死細胞を貪食する。また線維芽細胞は膠原繊維を作り、欠損組織を埋め、組織の修復を図る。

肉芽組織と瘢痕組織

炎症の修復過程において、局所の組織には毛細血管が多く新生される。これを肉芽組織と言う。組織の修復過程進行とともに、毛細血管の減少と膠原繊維の増加が起こり、最終的に膠原繊維のみからなる瘢痕組織となる。
創傷治癒は肉芽組織が少なく殆ど瘢痕を残さない一次治癒と多量の肉芽組織の形成を必要とし大きな瘢痕を残す二次治癒に分類される。一次治癒は外科手術の縫合跡などで二次治癒は組織の欠損が大きい挫創の治癒などでみられる。

炎症の種類

変質性炎

広範な組織傷害が中心で滲出や増殖が生じていない状態
例)劇症肝炎、熱傷など

滲出性炎

局所の循環障害と血液成分の滲出が見られる状態。滲出物により以下分類される

▼漿液性炎
 血清成分の滲出を主体とする
例)火傷時の水疱、虫刺され時の腫れ(アレルギー性鼻炎)
▼線維素性炎
 フィブリン(線維素)の滲出を主体とする
例)ジフテリア、線維素性心膜炎
▼化膿性炎
 好中球の滲出を主体とする。蜂巣炎、膿傷・畜膿などが含まれる
例)蜂巣炎性中耳炎、蓄膿症など
▼出血性炎
 赤血球の滲出を主体とする著しい出血。
例)インフルエンザ肺炎、ペスト
▼壊疽性炎
 壊疽を伴う炎症
例)得素性中耳炎、ガス壊疽

増殖性炎

組織の修復、線維芽細胞増殖を主体とする
例)肝硬変、肺線維症

特異性炎

増殖性炎の特殊型で肉芽腫の形成を特徴とするもの
例)結核、梅毒、ハンセン病、サイコイドーシス

炎症メディエーター

ケミカルメディエーター、炎症仲介物質とも呼ばれる。低分子のものが多く、細胞と細胞間の情報伝達の役割を担う。損傷された組織、および炎症部位に浸潤した白血球や肥満細胞、マクロファージなどから,生体反応の結果として生理活性物質(ヒスタミンやセロトニン、ペプチド、ロイコトリエン、トロンボキサンなど)が産生・放出される。血管透過性亢進、血管拡張、白血球の遊走・浸潤、組織破壊などの作用を引き起こす。

サイトカイン

細胞から放出されるたんぱく質の総称である。細胞間の情報を伝達する役割を持つ。白血球やリンパ球などから放出されるが、何から放出されるかによってサイトカインの持つ能力は変わる。免疫や炎症に関与する能力を持つサイトカインが多いことは判明しているが、その能力や作用の原因についてはまだ大部分が解明されていない。

サイトカインの持つ主な能力

細胞の増殖、分裂、細胞の死滅、創傷の治癒など

メディエーターとは

生物学・医学で細胞間のシグナル伝達を行う物質

炎症反応は、ケミカルメディエーターによって制御されています。
メディエーターは、血漿由来と細胞由来に分類でき、下記のような作用で炎症を誘導します。

メディエーター 炎症
メディエーター

細胞由来の炎症のメディエーター

細胞由来の炎症メディエーター
細胞由来の炎症メディエーター

血管動作性アミン

ヒスタミンとセロトニンがある。

ヒスタミン
肥満細胞や好塩基球で産生され、細胞内に顆粒に蓄えられている。外傷や炎症あるいはアレルギー反応が起こると、すぐに顆粒から細胞外に放出され、血管の拡張や透過性を亢進させる。

セロトニン
血小板の顆粒中に存在し血小板の凝集より放出される。

アラキドン酸代謝

アラキドン酸は細胞膜を構成するリン脂質で、炎症性刺激や補体の活性化より放出される。アラキドン酸の代謝物であるプロスタグランジンやロイコトリエンは血管の拡張や白血球の遊走を起こす。

サイトカインと成長因子

炎症ならび免疫を担当する細胞や血管内皮細胞、線維芽細胞など多くの細胞が産生するポリペプチドである。サイトカインには多くのものがある。腫瘍壊死因子tumor necrosis factor (TNF)、インターロイキン interleukin(IL) は内皮細胞の接着分子の発言を高め、白血球が血管外に遊出することを促す。
炎症細胞や組織細胞から産生される走化因子としてケモカインがあり、代表的なものとしてMCP-1、IL-8がある。成長因子は細胞の増殖や分化に関わるものである。線維芽細胞の増殖やコラーゲンの形成、血管新生などに働いている。

なかでも、サイトカインは様々な細胞から産生され、炎症全般を支配する重要な炎症メディエーターです。

サイトカインの分類と機能

サイトカインの分類と機能
サイトカインの分類と機能

炎症と免疫のメカニズム

Danger Signal(危険信号)に体が反応して炎症が始まる

炎症は、異物や死んでしまった自分の細胞を排除して生体の恒常性を維持しようという反応と考えられます。例えば細菌やウイルス(一種の異物です)が体の中に侵入しようとした時に、さまざまな細胞などの生体内成分がその排除に働いた結果が炎症性反応です。それらの反応の中には、予め体の中に用意されている直ちに働く成分による反応と、やや時間をかけて一旦その異物の構成成分を解析してから強力に攻撃する時に後から作られる成分による反応があります。

前者の反応が開始するのに重要な成分として、ヒトには存在しない細菌やウイルスの構成成分を認識するセンサーが、あらかじめ体の中に存在することが、最近になって分かってきました。

そのセンサ-が感知する細菌やウイルスの構成成分による刺激のことをDanger Signalと呼んでいます。細菌やウイルスが体の中に侵入すると、そのセンサーが感知し防御反応が始まるのです。

なお、細菌やウイルスの構成成分のことをPAMPs(pathogen-associated molecular patterns; 病原体関連分子パターン)、またPAMPsを認識するセンサーのことをPRRs (pattern-recognition receptors:パターン認識受容体)と総称しています。

後者の、やや時間をかけて起こる反応は、いわゆる免疫反応(獲得免疫反応)です。この反応で異物を排除する成分としては、抗体(特に抗原特異性が高い効率的に攻撃できるタイプの抗体)などが良く知られています。なお、この獲得免疫反応は、しばしば炎症と分けて説明されることが多いかと思いますが、病気と関係する獲得免疫反応は、炎症反応の一種と考えると理解しやすいと思います。

体の中にもあったDanger Signalとなる成分

細菌やウイルスの構成成分をDanger Signalとして感知するPRRsに関する研究が盛んに行われた結果、ごく最近になってそれらのPRRsがもともと私たちの体の中にある成分にも反応することが明らかになってきました。

例えば、通常は細胞の中に留まっているある種の成分が、細胞が死んで細胞外に出ると、それを体内のセンサーがDanger Signalとして感知し、炎症反応を引き起こすことが分かってきました。このような炎症については、細菌やウイルスの成分が引き起こすこれまで知られていた感染性の「炎症」と区別して、非感染性の「自然炎症」と呼ぶことがあります。

そのような炎症を引き起こす体の中にある成分をDAMPs(damage-associated molecular patterns; ダメージ(傷害)関連分子パターン)と総称しています。

このように、体の中の成分も炎症を引き起こすのであれば、いつでも体の中で炎症が起きてしまうことになりますが、、通常はそのようなことにはなりません。しかし、種々の非感染性の慢性炎症を伴う病気では、その「自然炎症」が病気の重要な原因となっていることが予測されます。しかしながら、それらの病気と「自然炎症」との関連性については、まだ十分には明らかとなってはいません。

以上の自然免疫系の反応を下の図に示します。

自然免疫系の反応
自然免疫系の反応

(A) 感染症のときの自然免疫系の反応

細菌やウイルスからは、PAMPsが放出され、免疫系細胞のTLRなどのPRRsに結合して、自然免疫応答を刺激し、炎症や獲得免疫系の活性化が起こり、最終的に感染症から回復して組織が修復されます。

(B) 非感染症の場合の自然免疫系の反応

細胞がストレスにさらされたり、傷害された時にも、感染した時と同じようなイベントが起こります。そのような細胞からは健常であれば細胞内に隠れていた分子(DAMPs)が放出されます。それらDAMPsは免疫細胞のPRRsや特別なDAMPs受容体に結合して、炎症性サイトカインの放出を促進したり、組織へ免疫系細胞を遊走させて、炎症を起こします(自然炎症)。その過程に関与する免疫系細胞も、樹状細胞(DC)やマクロファージ(MΦ)のような抗原提示細胞、T細胞(T)や好中球(PMN)など感染時とほぼ同様です。DAMPsは獲得免疫系も刺激し、自己免疫反応や組織修復にも関与します。

炎症と活性酸素

生体内において,炎症時の活性酸素の主要な産生源は食細胞である。
通常、免疫複合体,C5a,leukotrieneB4(LTB4),PAF,異物貪食などの刺激にて,好中球,マクロファージなどの食細胞は,その細胞膜にあるNADPHオキシダーゼによりスーパーオキサイドを生成する.
活性酸素は,顆粒内に存在する蛋白や酵素(リソゾーム酵素,ラクトフェリン,塩基性蛋白など)とともに細胞内殺菌に働く.
これらの活性酸素が細胞外に大量に放出されたとき種々の細胞や組織,液性因子が障害され炎症反応が惹起される.
活性酸素は細菌、免疫複合体などによって刺激を受けた好中球やマクロファージから産生され、貧食された細菌や組織の残骸などを消去する強い活性を持っている。活性酸素は体内では酸化されやすく、活性酸素が増えすぎると、炎症反応を促進する。

炎症と肥満細胞

組織障害が起こる。(物理的・化学的刺激、感染、アレルギーなど)

肥満細胞や組織内マクロファージによるケミカルメディエーターなどが作用。

血管反応(血管透過性亢進、血流量増加)および食細胞の遊走が起こる。

肥満細胞(マスト細胞)の役割

マスト細胞は気道や腸管などの粘膜や皮膚など全身組織に広く分布する。78年PaulErlich により発見された,栄養分の入った顆粒がぎっしり詰まっているように見えたためギリシャ語で乳房を意味する‘mast’細胞と名づけられた。その後の研究で、マスト細胞は好塩基性顆粒をもち流血中に存在する好塩基球と同様,骨髄造血幹細胞由来であるが,好塩基球と異なり末梢血中には成熟細胞としては存在せず,未分化な形態のまま各組織に移行し,その場所で分化成熟し機能を発現することがわかった。マスト細胞は抗原などの刺激により活性化されると、顆粒中に貯蓄された血管作用アミンのヒスタミン、トリプターゼなどのプロテアーゼなどを放出する。次に各合成酵素依存的にプロスタグランジンD₂やロイコトリエンのような脂質メディエーターをdenovo(新たに作る)合成して分泌する。その後IL-6、TNF-αといった成長因子やサイトカイン、ケモカインを生産・分泌する。

炎症とストレス

炎症、ストレス、交感神経の関係性

加齢によるT細胞からの自己免疫疾患
体を守るはずの炎症の働きが低レベルで慢性的に続くことで、自己免疫疾患をはじめ、ガンやメタボなど様々な病気の原因となる「慢性炎症」の重要なファクターとして、ストレスによる神経系への局所の刺激が慢性炎症を起こす。

一般的には炎症というと急性炎症がイメージされる。元々炎症は、創傷治癒に関するもので蚊に刺された時の炎症は、蚊から入った成分を体から除去するために起こる免疫の働き。本来、必要があって働くものだが、オフにできないまま低レベルの炎症が長く続くと、慢性炎症になり、病気の発症につながる。 炎症が自己免疫疾患をはじめ、メタボリック症候群、アルツハイマー、パーキンソン病、ALSを含む神経変性疾患、あるいはアトピー、アレルギーなどの多くのヒト疾患に関わっている。
炎症回路が活性化するためには、サイトカイン、増殖因子、神経伝達物質など多くの液性因子が刺激剤になる。レギュラトリーT-cell(制御性T細胞、Tレグ細胞)などは、サイトカインを出すような活性化ヘルパーT細胞や、Cd-8のキラーT細胞などの働きを抑える。
レギュラトリーT-cell(制御性T細胞、Tレグ細胞)↑→T細胞(Th1、Th17)↓→サイトカイン↓→炎症↓

Tレグ細胞は、T細胞(Th1、Th17)を抑えるからサイトカインが減る。Tレグの発生というのは、特に普通のTレグの場合、TGF-βというサイトカインやTCR(T細胞受容体)の刺激によって出てくるが、Th17はTCRとTGF-βにIL-6の刺激があると出ます。だから、TレグとTh17の発生というのは、環境にIL-6があるかどうかの違いしかない。Tレグへの分化を抑えるもののメインはおそらくIL-6で、Th17は腸管で特に多い。
※IL-6:交感神経の活性により発生 後述
※Th17は炎症性のT細胞。免疫が過剰に働きすぎるとアレルギーや自己免疫疾患になる。

Tレグ細胞がメインに抑えるのは、活性化したヘルパーT細胞。このヘルパーTは、サイトカインをたくさん出す為、炎症性である。このヘルパーT細胞は加齢と共に増えて活性化する。加齢とともに活性化する理由は、サイマス(Thymus 胸腺)が小さくなることが原因の一つ。なぜ小さくなると活性化するかというと、T細胞というのはT(サイマス)の量を合わせようとする。そうするとナイーブな活性化していないT細胞が徐々に活性化する。それは、自己反応性とかなりリンクしている。 だから、加齢により自己免疫疾患が増えるというのは至って普通なこと。加齢により自己免疫疾患が増えるというのは必然である。「T細胞の恒常的分裂」と言い加齢により活性化し、メモリー型のT細胞が増えていく。メモリーT細胞が病気に関連するというのは、MHC(主要組織適合遺伝子複合体)クラスIIにリンクする病気である。炎症回路はこうしたサイトカイン・ディペンデント(=依存した)な病気を引き起こすヘルパーTの下流の機構であると言っていい。

「炎症の増幅回路」の刺激物質と炎症疾患の誘導

多くの炎症回路の研究から炎症回路を活性化する刺激物質は、活性化したヘルパーT細胞、NK細胞、キラーT細胞、樹状細胞、マクロファージから産生される様々なサイトカインばかりではなく、様々な増殖因子群、神経伝達分子などもあることがわかってきた。これらの因子は、炎症局所にて非免疫系細胞に働いてNFkBとSTAT3の同時活性化からIL-6、ケモカイン、増殖因子などの炎症性の因子を大量に局所産生して、無秩序に様々な免疫細胞を集積、周囲の細胞を増殖させ、その部位の恒常性を破綻させて、炎症を誘導して、炎症性疾患の発症を導く。

肥満は脂肪細胞が増えて、そこからもサイトカインが出る。

炎症の増幅回路
炎症の増幅回路

局所の神経の刺激による影響

いつもピリピリしていると交感神経がいつも活性化する。そうなると局所的にノルアドレナリンが出て、炎症回路自体がかなり過剰に回るようになる。サイトカインだけの場合より、そこにノルアドレナリンが加わったほうが炎症回路の活性化が激しくなる。交感神経、ストレスが過剰になると炎症が増加してしまう。

次に証明したのは、痛み。そこにストレスも関わってくるが、この痛みの刺激を導入すると脊髄の腹側の2本の血管が特異的に変わる。中枢に注目しているが、胃、肝臓、腎臓などの一般臓器でもいずれかの部位の血管が変化する可能性もある事が既に分かっている。この痛みは日常的にどこかにぶつけた時の痛みではなく、慢性的な痛みで、慢性的ということが重要で、それが慢性炎症に通じる。たとえば、歯が痛い、女性の生理痛など。そういう慢性的な痛みでどこかの血管で炎症回路が活性化し、そこで炎症がどんどん起こるような状況にはなっている。交感神経が活性化することで、どこかの部位の血管で炎症回路が活性化し、IL-6とかグロースファクター(成長因子)、ケモカインなどがでる。 交感神経は、ストレスに過敏に反応する人もいれば、わりと耐性がある人もいて個人で違う。交感神経を上げると特定の血管を開けてしまう為、出来るだけ心穏やかに副交感神経を上げた方が病気になりにくい。交感神経が過剰に反応している時というのは、一人ひとり内容が違っていたとしても、体中で炎症が起きやすい状態である。

腸脳相関 リーキーガット

ストレスがかかると脳の特定の血管にゲートができて、微小な炎症が起きる。そこに自己反応性のT細胞がいるので、そこが炎症回路を介して悪循環になって、その時、神経を刺激できるATPが細胞から出る。そうなると、その血管に存在する神経の軸索から刺激が入って、それまでの活性化していなかった神経回路が活性化される。
このストレスと微小な炎症で作られる新たな神経回路が胃を制御している迷走神経の活性度を思い切り上げる。すると胃酸が過剰に出て、胃の粘膜、十二指腸の粘膜がボロボロになって出血、その結果、血中のカリウムが増加して、心臓の調子まで不調になり、実験動物は突然死してしまう。

リーキーガット
リーキーガット

ストレスゲートウェイ反射

慢性的なストレスによってストレス中枢「PVN」が活性化、PVNのTH+のアドレナジック神経で特に特定の微小血管に配位しているものが活性化、特定血管にて、ゲートウェイ反射にて、微小炎症が誘導、ATPが産生、ATP依存性に神経核「DMH」が過剰に活性化、DMHに引き続き、迷走神経核「DHX」が過剰に活性化、特に、胃に配位している迷走神経が活性化し、胃酸分泌が過剰となり、胃・十二指腸の粘膜が障害、壊死し、出血が生じる。血中にK+が過剰に増加、心不全を引き起こす。

ストレス時で、特に自己反応性T細胞が関わる場合は、脳が先の可能性が高い。ストレスを感じて最初に反応する場所は脳の血管。ストレスだけだとまだ耐えられる。だけど、脳の特定血管がゆるんで、微小な炎症が生じると、そこを起点とする神経回路の活性化が過剰に上がって、となる。だから、腸に関与する神経回路を活性化する部位の血管部位に炎症が生じた場合には、リーキーガットの誘導の可能性はあり得る。
発生学では、生物としては腸が最初に生まれるから、情動とかも含めて「メンタルの起源は腸にある」という言い方をする。「腸内細菌を変える」とか言うが、少なくとも血管とストレス中枢は繋がっているし、ストレス中枢と腸もつながっているから、腸から脳につながっている神経系は当然あって、その神経回路の活性化が腸内細菌によって影響を受ける場合は有ると言える。

炎症を促進する食べ物n-6系脂肪酸
炎症を抑制する食べ物n-3系脂肪酸

エイコサノイド[eicosanoids]

脂肪酸代謝では、炭素数20の脂肪酸で二重結合を4個もつアラキドン酸と、二重結合を5個もつエイコサペンタエン酸(EPA)からさまざまな生理活性物質が生成されてくる。この生理活性物質をエイコサノイド(eicosanoids)と呼び、プロスタグランジン、トロンボキサンおよびロイコトリエンが含まれる。アラキドン酸(n-6系)に由来するエイコサノイドとエイコサペンタエン酸(EPA、n-3系)由来の主なエイコサノイドとその作用を表1ならびに代謝マップを図9に示す。

炎症とエイコサノイド

n-6系脂肪酸に由来するエイコサノイドは、炎症の過程において血管透過性の亢進、好中球の誘導と活性化、炎症性サイトカイン生成促進などを惹起し、炎症促進的に作用する。
これに対しn-3系脂肪酸から産生されるエイコサノイドは、抗炎症作用、血管保護作用、炎症性サイトカイン生成の抑制作用など、炎症抑制的に働く。その分子レベルでの作用機構は、n-3系脂肪酸からエイコサノイドが生成される代謝経路がn-6系脂肪酸代謝経路と拮抗することで炎症促進性エイコサノイドの産生とその作用が抑制されると理解されてきた。
ところが2000年代に入り、それ自身に抗炎症作用がある脂質メディエーターの存在が明らかとなった。レゾルビン:Resolvin E1(Rv E1)とプロテクチン:Protectin D1(PD1)と命名された物質である。Rv E1はEPAから、PD1はDHAから生合成され、両者ともナノモルレベルの極微量で抗炎症作用を発揮する。いずれも炎症の局所で細胞間生合成経路によって生成されると考えられている。この脂質メディエーターの発見で、n-3系脂肪酸の抗炎症作用を新たな視点で理解できることとなり、栄養学的にも、新薬開発の面からも注目されている。

n-6系脂肪酸とn-3系脂肪酸由来
n-6系脂肪酸とn-3系脂肪酸由来
炎症とエイコサノイド
炎症とエイコサノイド

炎症を促進すると言われている食べ物

「加糖飲料、精製穀物、加工肉などの食品」のメカニズム
①加糖飲料
加糖飲料は飲みやすく、一気にたくさんの量を摂取しやすい。→血糖値が急上昇しやすい
例)コカコーラ 100ml 炭水化物11.3g → ペットボトル1本 500ml  炭水化物56.5g
血糖値の急上昇は血管を傷つけ、炎症を起こす可能性。

②精製穀物
そのものが悪いわけではないと思うが、玄米や全粒粉などに比べると血糖値は上昇しやすく、また、ビタミンやミネラル、
食物繊維が少ないため、炎症を抑える成分があまり含まれていない。
<玄米に含まれている抗酸化成分>
・フェルラ酸・・・玄米にはγオリザノール(フェルラ酸と植物ステロールが縮合)が含まれている。
これは体内で分離され、働いている。22㎎/100g(白米の5倍)

③加工肉
加工肉が大腸がんのリスクをあげることは確実と言われている。
炎症によって大腸がんになる可能性。

腸は食べものの通り道であると同時に、有害物質などの毒素が溜まりやすい場所です。 老化によって増えた時だけでなく、脂っこいものなどを食べ過ぎても腸はそれらを異物や敵と認識し、腸管を守ろうとして炎症が起こるのです。
腸の粘膜には体内の免疫細胞が多く集まっているため、免疫機能への影響も大きく、それがアレルギーの原因になったり、腸炎や大腸がんのもとになる可能性もあります。老化や生活習慣の乱れから始まる、こうした腸の炎症や“くすぶり”は最近の研究で分かってきたことで、今注目されている分野です。→なので、食べたものによって、腸をとおして炎症が起こる。

急性炎症と慢性炎症
急性炎症と慢性炎症

炎症を抑制する食べ物

乳酸菌
-二重鎖RNAがインターフェロン-β産生を活性化し腸炎を予防-
・小腸の主要な常在細菌である乳酸菌が多量の二重鎖RNAを持つことを発見
・二重鎖RNAは樹状細胞のインターフェロン-β産生を介して、抗炎症効果を発揮
・腸内や食品由来の乳酸菌が健康増進に貢献することが期待される

概要(抜粋)
 乳酸菌は小腸に常在すると同時に、ヨーグルトや漬物などの発酵食品としても摂取され、人々の健康維持・増進に関わっている。今回、乳酸菌内にある二重鎖RNAが小腸の樹状細胞を活性化してインターフェロン-βを産生させることによって、抗炎症効果を発揮すること、腸炎の予防など腸管の免疫レベルの維持に直接関与することが明らかとなった。この性質はこれまで解析したほかの細菌にはみられなかった。乳酸菌に特有の健康維持・増進効果が初めて分子レベルで明らかになったことで、予防医学分野における活用も期待される。また、二重鎖RNAを豊富に含む乳酸菌群が、腸管の免疫を活性化する機能性食品成分となる可能性も考えられる。

インターフェロン-β
インターフェロン-β

研究の内容(抜粋)
乳酸菌はほかの細菌に比べて多量の二重鎖RNAを含んでいる(図1)。乳酸菌が小腸の樹状細胞に取り込まれると、乳酸菌はエンドソームにあるトル様受容体3(TLR3)と呼ばれる免疫反応に関わるタンパク質を刺激し、さらにTLR9も協調して、樹状細胞によるインターフェロン-β産生を引き起こした。インターフェロン-βは抗ウイルス活性を持つことが知られているが、それと共に腸管の炎症を抑え、健康な腸を保つために重要な役割を果たすことも見いだした。
 小腸から分離した乳酸菌、プロバイオティクス乳酸菌を調べたところ、菌株によって差異がみられるものの大多数(約7割)の乳酸菌に共通する性質として、免疫細胞から多量のインターフェロン-βを誘導した。
プロバイオティクス乳酸菌のうち、二重鎖RNAを多く含有するテトラジェノコッカス・ハロフィラスKK221株をモデル株として用い、インターフェロン-βの腸管生理機能の解析を進めた。その結果、乳酸菌摂取により産生されるインターフェロン-βは強い抗炎症作用に関与し、動物試験によりDSS誘発潰瘍性大腸炎を効果的に予防することがわかった。また、乳酸菌による抗炎症作用は、腸内の常在細菌である乳酸菌と食物から摂取されるプロバイオティクス乳酸菌に共通してみられることがわかった。

用語

◆乳酸菌
代謝により糖から乳酸を生成する細菌の総称。腸内にも常在しているほか、さまざまな加工食品、発酵食品に含まれているため、日常的に摂取されている。

◆二重鎖RNA
2本の相補的な配列を持つRNAが二重鎖を組んだもの。

◆樹状細胞
免疫細胞の一種。体内に進入してきた抗原、微生物などを認識し、サイトカイン(細胞間で情報を伝達する物質)産生やT細胞(免疫反応に関わる細胞)に対する抗原提示を介して免疫応答を開始する。

◆インターフェロン-β
ウイルスの侵入や腫瘍細胞の増殖に反応して樹状細胞などが分泌するタンパク質。ウイルスの増殖抑制や腫瘍細胞の増殖抑制、炎症の抑制などの作用を持つ。

◆プロバイオティクス
人体に有益な作用をもたらす微生物、およびそれを含む食品。

◆常在細菌
ヒトなどの消化管や皮膚に常在している細菌のこと。

◆エンドソーム
細胞外の物質をファゴサイトーシス(食作用)により細胞内に取り込んだ際に形成される小胞。その後、リソソームという細胞内の小器官と融合することで、酵素などの働きにより取り込まれた物質は分解される。

◆トル様受容体3(TLR3)
二重鎖RNAを認識する受容体で、二重鎖RNAウイルスを認識するものとして知られている。エンドソームに発現する受容体。

◆TLR9
非メチル化DNA(DNAの炭素原子にメチル基がついていない配列部分)を認識する受容体で、細菌やDNAウイルスのDNAを認識する。

◆テトラジェノコッカス・ハロフィラスKK221株
しょうゆもろみから分離した乳酸菌で、これまでの研究成果から、抗アレルギー作用の指標であるインターロイキン12(IL-12)の高い産生活性を持つことがわかっている。

◆DSS誘導潰瘍性大腸炎
デキストラン硫酸ナトリウム(Dextran sodium sulfate:DSS) の経口摂取により誘導される腸炎を指す。潰瘍性大腸炎(大腸の粘膜にただれや潰瘍ができる大腸の炎症)のモデルとして広く研究されている。

◆中和抗体
タンパク質などの抗原に結合して活性を消失させる抗体。

炎症を抑制する食べ物

ファイトケミカル(ココア、クルクミン、生姜、山椒など)」
 メカニズムは不明

食物繊維
食物繊維を与えることでアルツハイマー病と関連で知られる有害化学物質の例えばインターロイキン1βの産 生を抑えた。 水溶性食物繊維の豊富な食事を摂ることで、腸内細菌が自然に食物繊維を酪酸塩に変えてくれる。 それによって、加齢による脳の免疫細胞の慢性的な炎症を緩やかにする可能性が期待できる。食事は腸内細菌の組成と機能に重大な影響を与える。食物繊維の豊富な食事は善玉菌に良い影響を与え、一方で 脂質やタンパク質の多い食事では負の影響がある。食生活は腸内細菌の変化を通して病気に影響を及ぼす道筋になりえる。

哺乳類が年をとると、脳内に存在する免疫細胞「ミクログリア」が慢性的に炎症を起こした状態となる。 こうした状態となったミクログリアは、認知機能や運動機能を損なう化学物質を生産する。ミクログリアの慢性炎症は加齢に伴って記憶力などの脳機能が低下する理由の1つである。 今回の研究によると、加齢によるミクログリアの炎症に起因する脳機能の低下を水溶性の食物繊維(果物や野 菜に豊富)を食べることによって緩和できるかもしれない。 今回の研究は動物実験だが、研究者によると、今 回の結果がヒトにも当てはまる可能性は十分にあるとのこと。

腸 低繊維食 高繊維食 老年マウス 腸 炎症 血中の酪酸塩・単鎖脂肪酸↑ 若年マウス 炎症なし 血中の酪酸塩・単鎖脂肪酸↑
⇒老年マウスに高繊維食を与えると劇的に炎症が軽減された。

ファイトケミカルと食物繊維
ファイトケミカルと食物繊維

結果
①食物繊維が少ないエサを与えると、年老いたマウスでのみ腸に炎症が生じた。 若いマウスでは生じなかった。 (加齢による脆弱性)
②食物繊維が多いエサを与えたマウスでは、年齢にかかわりなく、酪酸塩を始めとする短鎖脂肪酸の血中濃度 が増加した。

加齢により脳の免 疫細胞(ミクログ リア)に慢性的炎症がおきる
認知・運動能力の 低下
有害な化学物資 (インターロイキ ン1β:アルツハ イマー病と関連す る)を産生する
認知・運動能力の低 下が緩やかになる。 食物繊維 を十分に 摂取
食物繊維が腸内の善玉菌の成長を促 進する
善玉菌が食物繊維を消化する際に酪 酸塩などの短鎖脂 肪酸を産生する

酪酸塩は、脳の免疫細胞(ミクログ リア)に抗炎症作用がある
③食物繊維が多いエサを与えると、高齢マウスの腸の炎症が軽減した。 ④高齢マウスに食物繊維が多いエサを与えた場合には、炎症が生じたミクログリアによる「損傷を引き起こす 化学物質(インターロイキン1β:アルツハイマー病と関連)」の生産を酪酸塩(食物繊維から腸内細菌が作 り出した)が阻止した。 研究者は次のように述べている: 「高齢者の食物繊維摂取量は推奨摂取量の40%にも達していません。 食物繊維の摂取量が足りていないと、 脳の健康や炎症全般など思わぬ方面に悪影響が生じかねません」

最後に

虫刺されも炎症、ガンになっても炎症、風邪をひいても炎症、歯槽膿漏も炎症、にきびも炎症・・あらゆる非恒常状態を炎症でまとめてしまうことが多いと感じています。
けれど、その答えは全て◎です。
医療関係者などではなく、一般の方でさえよく炎症という言葉は使用します。
知れば知るほど複雑で分かりにくいと私自身も感じて来ました。
原因も多様、症状も多様、改善方法も多様です。その為、出来るだけ分かりやすく「炎症」についてまとめました。これでも分かりづらいかもしれません。でもひとつひとつ、ゆっくりじっくり読んでいただくと「炎症」というものが何か、どうすれば対処できるのか、見えてくると思います。

たったひとつの虫刺されであっても、痒く痛く辛いものです。気持ちは下がり、肌の露出を避けて・・と生活がマイナス思考へ傾いてしまいます。健康で美しく元気に生活する為に、非炎症の生活を健やかに過ごしたいものです。

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