タンパク質の体内における働きの重要性と摂取量

タンパク質

著者:池上淳子
管理栄養士/美容食インストラクター
日本ビューティーヘルス協会 会長
池上淳子

三大栄養素のひとつであり、体の構成材料になるタンパク質。
筋肉や美肌生成に欠かせない栄養素で、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品に多く含まれています。
また、プロテインドリンクとして、アスリートを中心に好まれ、強い、かっこいい、美しい身体づくりに活用されています。
とても大切な栄養素ですが、タンパク質は体内で、どういった働きがあるのか、基礎知識としてまとめました。

筋トレ

タンパク質とは

タンパク質は生命維持に必要な最も基本的な物質で組織の構築や様々な機能を果たしています。

体タンパク質の合成に必要なアミノ酸は20種類あります。
20種類のアミノ酸のうち、
人や動物が体内で作ることのできない9種類を必須アミノ酸
体内で糖質や脂質から作り出すことのできる11種類を非必須アミノ酸
と呼んでいます。
必須アミノ酸である9種類は食事から摂らないといけません。

必須アミノ酸
イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン(スレオニン)、トリプトファン、バリン、ヒスチジン
非必須アミノ酸
チロシン、システイン、アスパラギン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン酸、グルタミン、プロリン、グリシン、アラニン、アルギニン

アミノ酸

タンパク質の消化と吸収

食事中の全てのタンパク質は消化管で消化された後、吸収されます。

口から入った食事中のタンパク質は胃に入り腸へ運ばれます。

胃液(ペプシン)
膵液(トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ等)
腸液(アミノペプチターゼ、ジペプチターゼ等)


の一連のタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)の作用により、アミノ酸やオリゴペプチド、ジペプチドにまで分解、消化されます。

タンパク質消化の大部分は管腔内で行われるが、一部のオリゴペプチド、ジペプチドは小腸上皮細胞上に刷子縁膜上にある消化酵素によって膜消化されます。

このように消化されたタンパク質はアミノ酸や低分子ペプチドとして主に空腸上皮細胞に存在するアミノ酸輸送タンパク質やペプチド輸送タンパク質によって細胞内に取り込まれます。

空腸上皮細胞に取り込まれたアミノ酸や低分子ペプチドは門脈(小腸静脈)により肝臓に運ばれます。

食事中のタンパク質は消化管で消化された後、アミノ酸低分子ペプチドとして吸収されます。
吸収された低分子ペプチドは速やかに分解されてアミノ酸になり、生体内のタンパク質や生体機能物質の材料として利用されます。

タンパク質の消化

タンパク質の合成と分解

体タンパク質は合成と分解を日々繰り返しており、その種類によって代謝回転速度は異なっています。

食事タンパク質必要量とは生体が必要とする量、代謝要求量を満たす為に必要な摂取量と言えます。

代謝回転速度体タンパク質の半減期筋肉:約180日ヘモグロビン:約60日アルブミン:約20日肝臓:約10日トランスフェリン(Tf):7~10日トランスサイレチン(TTR)プレアルブミン(PA):1.9日レチノール結合タンパク質(RBP):0.7日ヒトの体タンパク質全体の反撃の平均 70~80日

タンパク質の欠乏が招く健康被害

タンパク質量が欠乏すると、生体量が部位によって順番に減少していきます。

1筋肉量の減少(骨格筋、心筋、平滑筋)
2内臓タンパク質の減少(アルブミン等)
3免疫能の障害(リンパ球、白血球、抗体、急性相タンパク質等)
4創傷治癒遅延
5臓器障害(腸管、肝臓、心臓等)
6生体適応の障害
→生命維持不能

タンパク質の欠乏はシワやたるみの原因にも

タンパク質が不足して欠乏状態になれば早期発見をして食事内容を改善していく必要があります。

タンパク質の過剰摂取が招く健康被害

タンパク質を摂りすぎ、過剰摂取によって健康被害がでる十分な研究結果はありません。
しかし、極端な過剰摂取が体に悪影響を及ぼす可能性が十分考えられます。

プロテイン
プロテインの摂りすぎ要注意!!

肝臓、腎臓など内臓疾患リスク

食事やプロテインドリンクなどで摂取したタンパク質は、体内で合成と分解を繰り返します。
タンパク質には窒素が含まれています。

窒素を体外に排泄するためには、肝臓・腎臓の働きが必要です。
体内の分解過程で不要になった窒素はアンモニアに変わります。
アンモニアは体にとって有害な物質であるため、肝臓で無害な尿素に変換され、その後腎臓で尿として排出されます。

このときにタンパク質を過剰に摂取してしまうと、その分多くの窒素を尿に変換しなければならなくなります。
そのため肝臓や腎臓にかかる負担が普段よりも大きくなります。

一時だけなら、健康被害が出る可能性は低いかもしれませんが、長年続いた過剰のタンパク質(プロテイン)摂取によって、将来的に内臓疲労を引き起こしてしまう可能性があります。

アルコールを摂りすぎるとアルコールの分解をする肝臓が疲弊して、肝機能が悪くなります。
その原理と同じです。

その為、摂取量には十分気を付けて摂るようにしましょう。
目先のかっこよさや美しさに目が眩み、自身の体が悲鳴に耳を傾けることをせず、どんどん体を病気へ誘導している可能性が多々あります。
取り返しがつかないことにならないように、十分気を付ける必要があります。

疲労感

腸内環境の乱れ

腸管、主に大腸には100種類以上、100兆個にも及ぶ腸内細菌が生息しています。
腸内細菌には善玉と悪玉、どちらでもない中間の菌と大きく分かれて構成されます。

動物性タンパク質を摂りすぎると、腸内で悪玉菌のエサになってしまい、悪玉菌優勢になり、腸内環境の乱れが発生しやすくなります。
本来、一番少ないはずの悪玉菌が増えてしまうと腸の運動が弱まり、食中毒菌や病原菌による感染の危険性、発ガン性を持つ腐敗産物が多く作られてしまう可能性があります。

もし、便が 黒っぽく嫌な臭いがある便は、腸内細菌のバランスが悪くなっている状態といえます。
腸内環境が悪化すると口臭や体臭の原因になると考えられます。
それだけではなく、免疫力の低下、肌荒れ、疲労感、などあらゆる不調を引き起こします。

便秘

体タンパク質の機能

1構造タンパク質

皮膚を形成して体を保護して、体内で結合組織は細胞、組織、器官の支持体として働いている。
骨や歯のような硬組織も骨気質タンパク質にミネラル沈着して出来ている。
結合組織の主要なタンパク質はコラーゲンである。
他にエラスチンは弾力性に富み、血管、皮膚、靭帯等に存在している。
毛髪や爪に含まれるケラチンは水に溶けず、消化酵素に抵抗性を示す。

2酵素タンパク質

酵素は全てタンパク質である。
細胞のあらゆる部位に存在し、生体内での反応の触媒として作用している。

3輸送タンパク質

細胞膜に存在する細胞内外の物質の輸送や、血液を介する組織間の物質輸送に関与している。
Na+-K+-ATPアーゼ(細胞膜に存在、NA+を細胞外へK+を細胞内に取り込む)
グルコーストランスポーター(グルコースを細胞内外へ輸送)
アルブミン(遊離脂肪酸等様々な物質と結合して運搬)
トランスコルチン(甲状腺ホルモン)
レチノール結合タンパク質(レチノール)
トランスフェリン(鉄)
セルロプラスミン(銅)
ヘモグロビン(赤血球内、酸素を肺から全身の組織に運搬)

4収縮、運動タンパク質

アクチン、ミオシン、トロポニン等の筋タンパク質は筋収縮を起こし、体の運動を司っている。
全ての細胞内のアクチン、チューブリン等は細胞骨格を形成し細胞分裂、エンドサイトーシス、エキソサイトーシスに関与している。

5防御タンパク質

様々な侵襲に対して生体は防御機構を備えている。
皮膚に存在するケラチンは生体を防御し、微生物の侵入を防いでいる。
肝臓で合成されたフィブリノーゲンから生成されるフィブリンは血液凝固に関わり、血管傷害時の出血を防いでいる。
リンパ球でつくられた免疫グロブリンは抗原抗体反応により抗原を特異的に中和している。
その他ウイルスの感染防御に働くインターフェロン、重金属の解毒に関与するメタロチオネイン等もある。

6調整タンパク質

生体の機能は神経系と内分泌系により調節されている。
神経系で働いている神経伝達物質の多くはアミノ酸の代謝産物である。
また内分泌系はホルモンを産生し、生体機能を調節しているが、アミノ酸誘導体、ステロイドホルモン以外は全てタンパク質ホルモンである。
これらのホルモンの細胞膜に存在する受容体タンパク質に特異的に結合してその機能を発揮している。

7受容体タンパク質

ホルモンや神経伝達物質はそれぞれに特有の受容体に結合して作用している。受容体は特別の化学物質を認識するタンパク質である。

エネルギー不足によるタンパク質合成の低下

タンパク質の体内での利用効率は摂取するタンパク質、アミノ酸、総窒素の量により変化します。
またそれ以外の栄養素の摂取量により、タンパク質代謝は影響を受けます。

エネルギー不足はタンパク質利用効率を低下させ、逆にエネルギー摂取が増すと窒素出納は改善されます。
これはインスリン分泌の増加によるタンパク質合成の促進、分解の抑制が寄与しています。
即ち、筋肉をつけたり、美肌生成をしたいという場合、炭水化物や糖質を制限する事は非効率と言えます。
炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維をバランスよく摂る必要があります。

バランス食

タンパク質の摂取量

現行のタンパク質摂取量の基準では、タンパク質の耐用上限量を策定し得る明確な根拠が十分には見当たらないので耐用上限量は設定されていません。

しかし、40歳以下の健康成人に1.9~2.2g/㎏体重/日のタンパク質を一定期間摂取させると、インスリンの感受性低下、酸・シュウ酸塩・カルシウムの尿排泄増加、糸球体ろ過量の増加、骨吸収の増加、血漿グルタミン濃度の低下等の好ましくない代謝変化が生じる事が報告されています。

また65歳以上の男性に2g/㎏体重/日以上のタンパク質を摂取させると、血中尿素窒素が10.7mmol/L以上に上昇し、高窒素血漿が発症することが報告されています。

これらの報告により、成人においては年齢にかかわらず、タンパク質摂取は2.0g/㎏体重/日以下にとどめるのが適当であると考えられます。

健康な成人の耐用上限量は推奨量の約2倍(2.0g/㎏体重/日)以上と推定され、窒素平衡維持の為の推定平均必要量は0.6~0.8g/㎏体重/日と見積もられているのでタンパク質摂取量が1.0~1.5g/㎏体重/日の範囲内であれば、不足あるいは過剰のいずれの危険性も少ないと考えられます。

食事の中で必要なタンパク質を摂ろう

毎日3食、基本的に食事を摂ると思います。
3食の内、
1食は肉100~150g程度
1食は魚1切れ程度
+卵、納豆、大豆、チーズなどを摂ります。

およそ、推奨量が摂れますので、過不足はありません。

タンパク質の食品
肉、魚、卵、大豆食品、乳製品をバランスよく

最後に

タンパク質=proteinの語源はギリシャ語で「第一のもの」という意味です。

それだけ、生体に必要なタンパク質ですが、近年の健康ブーム、ダイエットブーム、筋肉ブームがタンパク質との向き合い方を誤った方向へ追いやっている事も多く見られます。

大切なタンパク質ですが、当然エネルギーや他栄養素も必要です。
例えばタンパク質の摂取量が増えればビタミンB6もその分多く必要となります。
体内ではひとつの栄養素が単発で代謝が行われている訳ではありません。
あらゆる栄養素が混ざり合って、初めて代謝されて活用されていくわけです。
タンパク質は多く摂れば摂るほど良い・・という考え方で健康被害も後を絶ちません。

正しい知識を身につけて、健康で痩身で美しい筋肉のプロポーションを手に入れて下さい。

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